「2001年宇宙の旅」「アラビアのロレンス」 伝説映画へオマージュ 「エンドロールのつづき」本編映像

2023年1月20日より劇場公開される、チャイ売りの少年が映画と出会い、やがて世界で活躍する映画監督になる姿を描いた映画「エンドロールのつづき」から、本編映像の一部が公開された。

公開されたのは、少年のサマイが映写室で居眠りをしてしまった後にみた、夢と現実の合間のシーン。映像は、フィルムのカタカタという音とともに、35ミリフィルムの映写機の細部が映し出される描写から始まる。「2001年宇宙の旅」のオープニングで使用された曲「ツァラトゥストラはかく語りき」とともに フラッシュバックのようにインド映画が挟み込まれ、「2001年宇宙の旅」のワンシーンを思わせるように、サマイの顔には映写室の光が映り込む。また、サマイがマッチの炎をじっと見つめるシーンは、デヴィッド・リーン監督の「アラビアのロレンス」へのオマージュとなっている。

パン・ナリン監督は、伝説の映画のオマージュを作品にちりばめた理由として、「世界で一番の映画ファンを自負する一人として、私の人生や仕事に大きな影響を与えてくれた映画監督たちに賛辞やオマーシュを捧げずにはいられませんでした」と語る。他にも、映画の父と言われるリュミエール兄弟と彼らが監督した「ラ・シオタ駅への列車の到着」、連続写真の先駆者で映画のような画像を作り出したエドワード・マイブリッジなど、監督が心から敬愛する人物たちへのオマージュシーンを見つけることができる。

「エンドロールのつづき」は、監督自身の実話を映画化した作品。9歳のサマイはインドの田舎町で、学校に通いながら父のチャイ店を手伝っている。家族で映画館に映画を見に行ったサマイは、初めて見る映画にすっかり魅了されてしまう。サマイは、映写窓から見る色とりどりの映画の数々に圧倒され、いつしか「映画を作りたい」という夢を抱きはじめる。本作を監督したのは、インド出身で国を越えて活躍するパン・ナリン。大きな夢を抱く主人公の少年サマイ役を、3,000人の中から選ばれた新たな才能であるバヴィン・ラバリが務めている。

一足先に本作を鑑賞した著名人によるコメントが、“映画に恋に落ちた、あの1本”とともに公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■山田洋次(映画監督)
インドの片田舎に生きる貧しい少年を描きながら、フイルムへの愛を高々と歌い上げるという大胆不敵な作品。同じアジアの監督としてはエールを贈らないわけにはいかない。
映画に恋に落ちた、あの1本『路傍の石』(1938)

■前田 哲(映画監督)
この映画を愛さずにはいられない!
少年たちのキラキラした瞳と行動力に、
初めて映画と出会った頃を思い出した。
映画ってやっぱりいいなぁー
映画に恋に落ちた、あの1本『華麗なる賭け』(1968)

■藤井道人(映画監督)
懐かしさ、優しさ、あたたかさ、そしてスクリーンから溢れ出す映画愛。
変わっていく時代と向き合い、自分の道を切り開いていく、少年の眼差しと、その光たちが美しかった。タイトルの意味を知ったとき感情が揺さぶられた。
映画に恋に落ちた、あの1本『エターナル・サンシャイン』(2004)

■大九明子(映画監督)
サマイが教えてくれたフィルムの行方に涙した。とても美しかったから。

■呉美保(映画監督)
わたしたちがウッカリ落としてアッサリ忘れてしまったアレコレを、
9歳の少年がドンドン拾い集めてピカピカに磨き上げる。
映写室からのびる光の中に舞うホコリだって、彼にとっては宝モノ。
この世に既に存在しているモノを、いま一度、慈しむ大切さに、気付かせてもらいました。
映画に恋に落ちた、あの1本『少年時代』(1990)

■こがけん(芸人)
ひたすらに手を動かし、映画という〝夢〟の仕掛けを捉えんとする少年の澄んだ眼差しと、彼を取り巻く世界の美しさに心揺さぶられる。
まるでフィルム映画史の幕開けから終焉を辿るかのような物語。
強烈な映画愛が滲むラストのモノローグは格別だ。
映画に恋に落ちた、あの1本『星の王子ニューヨークへ行く』(1988)

■小堺一機
熱中出来る何かに出会った時に人生の扉が開く。
ラストシーンに誰もが自分の〝あの時〟を想い出し胸がキュンとするだろう!映画に乾杯!
映画に恋に落ちた、あの1本『素晴らしき哉、人生!』(1946)

■角田光代(作家)
すべてのシーンのすべての細部が、光に彩られ、さまざまな輝きを放っている。なんていとしい映画だろう。映画を愛するサマイくんを、愛さずにはいられない。
映画に恋に落ちた、あの1本『ザ・コミットメンツ』(1991)

■村山章(映画ライター)
ノスタルジックな感涙ものかと思ったら、映画とはなんぞや?と自分に問いかけた少年が因数分解するようにその真髄に迫る映画だった。鑑賞後に山ほど映画が観たくなるし、チャイがどうしても飲みたくなってスーパーに走った。

【作品情報】
エンドロールのつづき
2023年1月20日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネリーブル池袋 他全国公開
配給:松竹
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