小栗の物語22日公演へ 劇団「たなべ座」稽古に熱

本番が迫り、通し稽古をする劇団のメンバー(和歌山県田辺市新屋敷町で)

 和歌山県田辺市を拠点に活動する市民劇団「たなべ座」の公演「ミュージカル OGURI 小栗判官ものがたり」が22日に迫っている。出演者は小学1年生から70代の約20人。本番を前に、芝居、歌や踊りの稽古も熱を帯びている。

 謀略で毒殺された小栗が餓鬼の姿でこの世に戻され、険しい熊野の道を多くの人の情けによって運ばれた末、同市本宮町の湯の峰温泉で蘇生する。よみがえりの地熊野がつなぐ小栗と照手姫のラブストーリー。海南万葉の会が主催、たなべ座共催。紀伊民報などが後援している。

 昨秋から始めた稽古は最終盤で、14日から衣装を着けて本番さながらになった。16日には鏡のある紀南文化会館リハーサル室で、動きをチェックしながら、通し稽古をした。

 小栗役の正木吉紀さん(45)は、海南市の市民劇団KCMでこれまでも和歌山ゆかりの人物を演じてきた。「小栗の物語は知っているようで、地元でも詳しくは知られていない。誰であろうと受け入れてきた熊野の魅力を歌や踊りも楽しみながら感じてほしい」と来場を呼びかける。

 出演者には子どもや演劇未経験者も多いが、裏方も含め一体感は高まっている。

 田辺東部小学校5年の池田希実さんは「演劇が好き。巫女(みこ)役や現代のパートで小学生を演じるけれど、女性の役は全部できるように勉強している。将来は俳優になりたい」と日程調整が難しく、出演者がなかなかそろわない中、率先して代役を務め、練習を支えている。

 昨年末に稽古を見学したのがきっかけで出演が決まった日置啓太さん(21)は「演劇は中学の文化祭以来。その時も声だけの出演だったので、舞台に立つのは緊張する。でも練習は楽しく、挑戦心が湧いてくる」と意気込む。

 田辺市出身で、高校卒業後は大阪で就職していたが、最近Uターンしてきた。熊野古道や小栗の物語はほとんど知らなかったという。「僕自身がそうだったように、公演が若い世代に熊野の魅力を再認識してもらうきっかけになればいい」と期待している。

 公演は紀南文化会館小ホールで22日午後2時半開演。チケットは紀南文化会館などで販売している。前売り一般1500円(当日2千円)、学生千円。

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