備前黒皮のGI登録目指し協議会 ブランド維持へ瀬戸内の生産者

カボチャの在来種「備前黒皮」

 瀬戸内市で栽培されるカボチャの在来種「備前黒皮」の生産者が、「備前黒皮かぼちゃ振興協議会」を結成した。種子の保存や品質向上などに取り組み、地域の農林水産物・食品のブランドを守る農林水産省の「地理的表示(GI)保護制度」の登録を目指す。

 協議会は、栽培に携わる7人・団体で11日に発足。2月にもGI登録を申請する。種子を保存し栽培希望者に提供するほか、会員同士の農場視察や、出荷規格を統一する「目ぞろえ会」を通じて栽培技術や品質も高めていく。会長には協議会事務局を置く食品卸・大町(同市長船町東須恵)の安達勇治副社長(49)が就いた。

 GI保護制度は、生産地や品質などの基準を満たす商品にGIマークを表示でき、ブランドを守りやすくなる。高値販売や販路拡大も期待できる。登録数は現在120件。岡山県内では倉敷市の連島ごぼうが唯一登録されている。

 備前黒皮はあっさりとした味わいで、煮物をはじめ多様な料理に向く。昭和初期から瀬戸内市牛窓地区を中心に栽培されてきたが、甘みの強い西洋カボチャに押され、一時は1戸が自家消費用に作るだけになっていた。

 2014年に地元の農家や食品関連企業、市民有志らが保存会を設立し、採種や栽培、販売体制を構築。21年には面積が約50アールに広がり、市場出荷を再開した。焼酎や菓子など加工品も次々に開発された。活動が今年で10年目となるのを機に、一層の生産振興へGI登録を計画。生産者団体による申請が必要なため、新たに協議会を立ち上げた。

 安達会長は「土地に根差した在来種は食文化にも深く関わっており、地域に目を向けるきっかけになる。GI登録を実現し、伝統ある野菜を承継していきたい」と話している。

GI登録に向けて話し合う協議会のメンバーら

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