大原美術館誕生の物語 芝居で紹介 演劇型鑑賞ツアー、2月に初開催

「和服を着たベルギーの少女」の前で芝居をする孫三郎役の有賀さん(左)と虎次郎役の龍さん

 大原美術館(倉敷市中央)は2月4、18の両日、岡山県内の劇団と協力し、演劇型鑑賞ツアーを初開催する。学芸員らの解説を聴きながら館内を巡る現行ツアーに、新たに美術館誕生の物語を紹介した芝居を盛り込む。俳優2人が創設者の大原孫三郎(1880~1943年)とコレクションの基礎を築いた洋画家児島虎次郎(1881~1929年)を演じ、名画収集のエピソードなどを語る。

 作品や美術館をより深く理解してもらおうと企画した。同市を拠点にする「劇的集団 転機与砲」の有賀とういちろうさん(49)が孫三郎役、岡山市が拠点の「岡山劇団SKAT!!」の龍さん(41)が虎次郎役を務め、脚本・演出はSKATの天野嵩晟(たかあき)さん(38)が手がける。

 今回のツアーは1回70分間を予定し、モネ「睡蓮(すいれん)」、エル・グレコ「受胎告知」や虎次郎の「和服を着たベルギーの少女」といった代表的な絵画7点を取り上げて学芸員らが解説。芝居は収集に奔走した当時のエピソードを軸に、2人の出会いや歩み、美術館創設に懸けた熱意を語り合うという設定で、解説の途中で3度繰り広げられる。

 14日にあったプレスツアーでは、孫三郎の支援を受けた虎次郎が渡欧し、モネ本人に「日本の若い画家たちのために譲ってほしい」と直接交渉した逸話などが臨場感たっぷりに披露された。

 「2人の友情や情熱が作品の魅力とともに伝わる役づくりに努めたい」と有賀さんと龍さん。美術館は「当時にタイムスリップした感覚で楽しんでほしい。好評なら継続も検討していく」としている。

 4日は午後3時半と6時からの2回、18日は3時半から。各回定員20人(申し込み先着)で、参加費は1人5千円。未就学児不可。申し込み、問い合わせは美術館(086―422―0005)。

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