次世代型原発や60年超運転「閣議決定目指す」 資源エネルギー庁が福井県に方針説明、規制庁も

福井県の櫻本宏副知事(手前)に原子力政策の政府方針を説明する山田仁資源エネルギー政策統括調整官(左)=1月18日、福井県庁

 経済産業省資源エネルギー庁は1月18日、次世代型原発への建て替え推進や60年を超えた運転延長を認める利用政策案を盛り込んだ政府の基本方針を福井県と福井県議会に説明した。県庁で櫻本宏副知事と面談した山田仁資源エネルギー政策統括調整官は「必要なプロセスを経て閣議決定を目指している。関係法案を通常国会に提出すべく検討を加速する」と指摘。原子力規制庁も同日、新たな規制制度案を説明した。

 政府は昨年末、脱炭素化に向け原発を積極活用する基本方針を取りまとめた。山田調整官は60年超運転に関して「電力の安定供給や脱炭素への貢献といった利用政策の観点から経産省が審査認可を行う」と述べた。一方で「定期的な、より厳格な審査に合格しない限り、経産省の判断がどうあれ運転は認めない枠組み。関係法案の詳細な制度設計を原子力規制委員会が検討している」とし、安全性を担保した上での利用政策との考えを強調した。

 「原則40年、最長60年」に制限される現行の運転期間に対し、経産省は再稼働に向けた審査の停止期間を除外し60年超運転が可能となる法整備を検討している。▽東日本大震災以降の安全規制の変更▽行政指導に伴う停止―などを例に挙げ、事業者側に起因するトラブルなどは対象にしない方向とした。

 原発依存度の低減を掲げるエネルギー基本計画の早期見直しを櫻本副知事が求めたことに対しては、資源燃料を巡る国際情勢や再生可能エネルギーの導入などを含めて検討していく必要があるとし「直ちに見直すことは考えていない」と語った。

 原子力規制庁は山本哲也地域原子力安全調整官が来庁し、運転開始30年後から10年以内ごとに劣化状況を確認する新たな制度案を説明し「さまざまな劣化評価を行い、規制に抜けがないよう対応する」と述べた。「運転60年までの劣化の評価は経験や蓄積があり、現行の考え方が基本」と強調。40年超運転を審査する際に重要機器の劣化状況を把握する「特別点検」は原則維持し、60年超の評価手法は今後の検討とした。

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