【解説】岡山市中心部でマンション建設が相次ぐ理由・影響は? 不動産鑑定士「今後、販売価格が下がる可能性も」

今回は岡山市の街づくりについて考えます。岡山市中心部では今、マンション建設が相次いでいて、中には400戸を超える大型のものもあります。マンション建設が相次ぐ理由は何なのでしょうか。

なぜ? 岡山市中心部で建設ラッシュ

(松木梨菜リポート)
「岡山駅西口から歩いて6分ほどのところにある場所です。あちらのマンションの向かい側、この辺りに高層マンションが建つ予定です。建てば市内で最も高い建物になるんです」

岡山市北区昭和町に建設されるのは、地上38階建て、高さ約140mの高層マンション。

レジャー施設「遊プラザ」跡地に整備されるもので、長谷工コーポレーションが手掛けます。計画では2026年10月に建物が完成する予定です。

同じ敷地の南側には19階建てのマンションも建設されていて、こちらは2023年3月にも入居開始予定です。

高層マンションと言えば、イトーヨーカドー跡地の再開発事業で、複合型施設「杜の街グレース」に併設されたマンションが2021年8月に完成。地上37階、戸数は363です。このほかにも岡山市の中心部では再開発に伴うマンション建設が相次いでいます。

(松木梨菜リポート)
「桃太郎大通りの柳川交差点の一角、こちらには18階建てのマンションなどが建つ計画で、すでに解体工事が始まっています」

柳川交差点の北東の角にはマンションを含めて2棟が建つ計画です。110戸のマンションの下の階には商業施設などが入る計画で、岡山市によると2025年度に完成する予定です。

岡山市で不動産業を営む「ダイシン」は岡山市中心部のマンション事情について、「大型のもの」が増えていると感じています。

(ダイシン/菊井慎也 社長)
「今までは1棟当たり50~60戸、70戸ぐらいまでの規模のマンションが中心地に多かったんですが、近年は200戸以上の再開発を含むような物件が出てきてる状態という」

岡山市によると、事業が動き出している都市計画決定された再開発事業は、中心部で7つあります。この全てでマンションが建設される予定です。

駅前町の再開発では422戸、野田屋町の岡ビルがあるエリアには256戸のマンションが建つ計画です。このほか、最近建ったマンションや計画段階のものも加えると、中心部のこのエリアだけで少なくとも10棟が建つことになります。

なぜこんなにも相次いでいるのか、地域経済に詳しい専門家は――。

(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「事業者からすると、全てを商業施設で、月額の賃料で、投資したお金を回収していくんではなくて、一部を分譲マンションとする形にすることで、販売代金を回収することで、事業リスクを一部軽減することができる」

(ダイシン/菊井慎也 社長)
「大手不動産デベロッパー(開発業者)が大都市圏で一定の再開発が落ち着いてきましたので、地方の方にきているような状態だと思います」

マンションの建設ラッシュが販売価格にも影響?

岡山市内の新築の分譲マンションの販売戸数は、2022年には819と、ここ数年でもっとも多くなりました。これが2023年は1100戸ほどになると予測されています。

そして岡山市中心部では、マンションの販売価格が「上昇している」と言われています。複数の不動産関係者によると、市の中心部では、3LDK・70平方メートルで5000万円以上すると言われています。

一方、最近建設ラッシュによってこの価格自体にも影響があるかもしれないんです。

(ダイシン/菊井慎也 社長)
「岡山市自体が1年間に600~700戸ぐらいの販売戸数が適正。(年間に)1000戸を超えてきますと、売れ行きにブレーキがかかるというか、弱含みになるといいますか、そういうような形で完成在庫が出てきたりとか」

また、他の不動産鑑定士はKSBの取材に対して、「これだけ供給が多いと、今後、販売価格が下がる可能性もあるのではないか」と指摘しています。このほか、2021年あたりから新規の分譲マンションで未成約の物件が出てきていると指摘する声もあります。

菊井社長も今後の動向を注視しています。

(ダイシン/菊井慎也 社長)
「今の供給に、どこまで購買力が、購入層がついてこられるのか、中心市街地に集中して販売が出てきますので、競争がより一層激しくなってくるのではないかと思います」

また、マンションの建設ラッシュを巡っては他の心配事も……。

(ダイシン/菊井慎也 社長)
「ファミリー世帯が増えていっていますので、小学校や中学校の受け入れの方が教室が足りているのかとか、そういう問題が今後どうなっていくのかっていうのは気にはなるところ」

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