西日本にとって観測史上”最強寒波”のおそれも 予想通りなら記録的な低温・大雪に備えを

全国ニュースなどでは、”今季最強寒波””10年に一度の寒波”が、来週、日本列島に襲来か…といったことが伝えられています。もし、現在の予想通りの強さの寒気が来た場合、広島をはじめとした中国地方にとってはどのようなレベルなのでしょうか。

西日本で”観測史上最も強い寒気”のおそれ

こちらは気象庁が発表している週間天気予報の発表のための資料の一部です。

上空1500メートルの気温が平年と比べてどうなるかを示したグラフをみると、福岡では24日(火)にグラフがガクンと下がり、平年を大きく下回ることが予想されています。その度合いは、1年で最も寒いこの時期に平年を10℃前後も下回るという記録的な低さです。それだけ強烈な寒気が流れ込むおそれがあることを示しています。

上空下層の寒気の強さが記録的に低いおそれ

ところで寒気の強さをみる指標には、大きく分けて以下の2つの寒気があります。

・上空上層の寒気(上空5500メートル付近)

→雪雲をより発達させる

・上空下層の寒気(上空1500メートル付近)

→雪雲を発生させる、地上の気温を大きく左右する

来週、西日本に流入が予想される寒気は、特に上空下層の寒気が非常に低いとみられています。中国地方では広く上空1500メートルで-15℃以下の寒気に覆われる予想となっています。ではこの強さの寒気はどれくらい”記録的な強さ”なのでしょうか。

松江・米子の上空で”最も低い気温”更新の可能性

気象庁は上空の気温を、ラジオゾンデと呼ばれる観測機器をつけた気球を飛ばして観測しています。全国各地で1日に数回、同じ時刻に飛ばして観測していますが、中国地方では松江で観測しています(2010年までは米子で観測)。

観測記録が残る1957年以降、松江・米子で観測された上空下層(上空1500メートル付近)の気温で最も低かったのは1981年の-17.2℃です。また-16℃台を記録したのも4回のみです。

今回、予想されている上空下層の寒気の強さは、これまでで最も低い‐17.2℃を下回る可能性があります。

広島県内でも広く1日中気温が氷点下の”真冬日”に

このレベルの強烈な下層寒気が入ると、どのようになるのでしょうか。

ここ最近で記録的な強さの下層寒気が入ったのは2016年1月24日です。松江で観測された上空下層の気温は-16.6℃で、観測史上二番目に低い気温を記録しました。この時は沖縄でもみぞれが降ったとして大きな話題となりました。

この日の広島県内の最高気温・最低気温をみると、最低気温は沿岸部でも-3~‐4℃と厳しい冷え込み、最高気温は沿岸部をのぞいて広く1日中氷点下の真冬日となりました。

この日は中国山地では大雪となりました。また沿岸部では降った雪の量は大したことはありませんでしたが、沿岸部でも氷点下の厳しい冷え込みのため広範囲で路面が凍結、交通機関が大きく乱れました。

また北広島町では水道管の破損によって断水が発生。

寒気のピークが過ぎたあとでも日常生活に大きな影響が残りました。

記録的な低温・大雪への備えを確認

まだ予想にブレ幅はありますが、来週は強烈な寒波で日常生活に大きな影響が出ることが懸念される可能性が少なくない状況となってきました。

中国山地を中心に大雪に、また沿岸部も含めて県内全域で記録的な低温にも備えが必要となってきそうです。今後、さらに警戒を呼びかける情報が気象台などからも発表されると思いますので、最新情報を確認してください。

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