給食無償 マイナカード取得者のみ 備前市方針、保護者らに戸惑いも

備前市役所

 備前市は2023年度から、市民のマイナンバーカード取得を加速させるため、学校園の給食費無償化の対象をカード取得者に限定する方針を固めたことが19日、分かった。子どもや親世代への交付率が比較的低いことから、学用品費やこども園・保育園の保育料にも同じ条件を設ける。任意とされているカード取得の強制につながりかねないとして、保護者らからは反発や戸惑いの声が聞かれる。

 市は22年度、子育て支援の一環として学校給食費と学用品費、保育料を一律免除。財源には国交付金などを充てている。4月からは子どもを含む世帯全員がマイナカードを取得しているケースに限り、給食費などの納付を免除することとし、昨年12月に文書で保護者に通知。市議会常任委員会でも報告した。

 担当する市教委は「国が普及を進めるカードを全市民に取得してもらうことを目指しており、納付免除は取得者の特典と位置づけている」と説明する。

 一方、条件を満たさなければ、これまで無償だった費用や料金の全額負担が必要となる。ある市議は「子育て支援としての無償化を、カード普及に結びつけるのは強引ではないか」と指摘。保護者らでつくる市民団体も発足し「教育の機会均等に反し、新たな差別を生む」として反対の署名活動を展開している。

 市によると、市のマイナカード交付率は昨年12月末現在、県内27市町村で最も高い67.62%。ただ、30代以下は6割前後にとどまっている。

© 株式会社山陽新聞社