朝乃山1敗死守 大相撲初場所12日目

湘南乃海を寄り切りで制した朝乃山(左)=両国国技館

 大相撲初場所12日目は19日、東京・両国国技館で行われ、元大関で西十両12枚目の朝乃山(28)=富山市出身、高砂部屋=は、東十両13枚目の湘南乃海(しょうなんのうみ)(24)=神奈川県出身、高田川部屋=を寄り切りで下した。通算成績を11勝1敗とし、20日は十両の優勝争いで首位に並ぶ東5枚目の金峰山(きんぼうざん)(25)=カザフスタン出身、木瀬部屋=と直接対決する。両者の対戦は初めて。 

 右四つが得意の朝乃山は、けんか四つの相手に右上手を許したものの、左の下手投げで体勢を入れ替えて前に出た。右からおっつけて体を起こさせ、左に回って残そうとする相手をそのまま寄り切った。2連敗を回避し、取組後は「気持ちをしっかり切り替えて土俵に上がった」と語った。

 十両の上位は、西6枚目の大翔鵬(だいしょうほう)(28)=モンゴル出身、追手風部屋=が2敗で続く。3敗は湘南乃海と東7枚目の千代(ちよ)の国(くに)(32)=三重県出身、九重部屋=となっている。

■母の激励で切り替え  前日喫した初黒星のショックを引きずらなかった。朝乃山は「自分の形になれなかったけど、どっしり構えたことがよかった」と自己評価した。

 湘南乃海との対戦は3場所連続。対策を練ってくる相手に得意の右四つこそ封じられたが、物ともしなかった。左の下手をつかむと、投げを打って体勢を崩させる。腰を落として前に出続け、難なく土俵外に運んだ。「最後は無意識で、あまり覚えていない」。自然と体が動いた。

 全勝が止まった前日は「すごく悔しかった」。落胆は大きかったようだが、師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)らの助言と激励もあって気持ちを立て直した。2年前の8月に亡くなった父の石橋靖さんに代わり、毎日連絡してくれる母の佳美さんから「切り替えて、一日一番という気持ちで頑張ってね」とエールを送られたという。

 好成績を残せば1場所で再入幕できる可能性があるだけに、残り3番は一つも落とせない。(七瀬智幸)

■富豊勝ち越し  県関係力士は、東三段目3枚目の富豊(高岡市出身、時津風部屋)が白星で4勝2敗と勝ち越した。

12日目も朝乃山への大きな声援が両国国技館に響いた
湘南乃海を寄せ付けず取組後にほっとした表情を見せた

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