【Catch the Moment 14話】優勝決定の瞬間

大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

優勝決定の瞬間をどう撮るか。正解があるようで、実は毎回頭を悩ませる。与えられた撮影ポジション、それ以外で 撮影可能な場所、そしてその後のセレモニーへの流れ。各ボールパークで条件が異なるので、毎回同じというわけにはいかない。

今年のワールドシリーズは、レギュラーシーズンを最高勝率で終え、ポストシーズンもその実力通りに勝ち進んできたアストロズと、最下位シードのワイルドカードから勝ち進んできたフィリーズで行われた。久しぶりのワールドシリーズに湧くフィリーズのシチズンズ・バンク・パークに比べ、過去6年で5回目のワールドシリーズを戦うアストロズ。最初の2戦に関しては、アストロズのミニッツ・メイド・パークは、フィラデルフィアよりはおとなしかったかも知れない。

しかし、敵地で2勝1敗と勝ち越して3勝2敗、5年ぶりのワールドシリーズ制覇に王手をかけてヒューストンに戻ってくると、地元での初めてのワールドシリーズ制覇に向けて、ミニッツメイド・パークの興奮は最高潮に達していた。

How to “Catch the Moment”

優勝決定の瞬間、クローザーのプレスリーを中心に歓喜の輪ができる、そこにダグアウトからマウンドに向けて飛び出す選手たち。さらにその背景に最高に盛り上がるスタンドが写るよう、選手にクローズアップするより、少し広めの画角のレンズでその瞬間を狙った。

優勝チームの本境地でワールドシリーズの決着がつくのは2013年レッドソックス以来9年ぶり。最高の盛り上がりを見せるスタンドと共に撮ったワールドシリーズ優勝の瞬間。今シーズンを締めくくるに相応しい歓喜の写真になったように思う。

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