ピンク・レディーの未唯mieが盟友の女性芸人とコント舞台に挑戦 原点は大物コメディアンだった

1970年代後半に大ブームを巻き起こしたピンク・レディーの未唯mieが28日、静岡県伊東市で開催される公演で、盟友の女性芸人・オオタスセリと共に舞台でのコントに挑戦する。未唯mieはよろず~ニュースの取材に対し、「コント」という表現の原点として、日本を代表するコメディアンの一人である萩本欽一との舞台共演を挙げ、本番に向けて意欲を示した。

公演は「新生 市民劇場 ちょっと劇場へ!Vol.3 スセリ☆台本劇場in伊東2」と題して28日午後2時から伊東市ひぐらし会館ホールで開催される。未唯mieはスペシャルゲストとしてオオタの台本でコントを演じる。

両者のコラボは、2009年に未唯mieの主演芝居「ひと夏のエチュード」の脚本をオオタが書いたことがきっかけだった。オオタは「小劇場での私の公演を見にきてくださり、『翻訳物やミュージカルの大きな舞台はオファーが来るけれど、同い年くらいの等身大の女性の役がやってみたい』とのことで私に白羽の矢が当たりました」と経緯を明かす。

その後、これまでの共演歴について、オオタは「公では(1)20年に『二人会』で1ステージ、(2)21年に三ツ矢雄二さんとの『三人会』3ステージ、(3)22年に、ぶっちゃあさん、くじらさんと『四人会』2ステージです。シークレットゲストでチラシに載せずに田中真弓さん、内田春菊さんと4人でやったのが11年に2ステージありました。合わせると4回(計8ステージ)なので、今回は5回目です」と振り返った。

こうしてコントのキャリアを積んできた未唯mie。その奥深さは、オオタと初コラボすることになる09年、1月の時点で〝恩師〟から学んでいた。

「コントが一番難しいと思っているんです。一番最初に『うわーっ!』と思ったのが、萩本欽一さんの『あらん はらん しらん』という明治座の舞台に出させていただいた時でした。欽ちゃんに『普通のお芝居は黙っていてもできるでしょ。そこから、どう笑いに持っていくかということが大事なんだよ。毎回、同じ事をしてちゃダメ』と言われました。そして、欽ちゃんは実際にやって見せてくださるんですね。『たとえば、こんな風にもできる』『でも、これやっちゃダメだからね』と。本当に自分で考えないといけないのと、瞬間で何を感じて、どう演じるかということをまず、明治座で洗礼を受けました」

元々は「役者志望」だったという。ピンク・レディーはミイ(未唯mie)とケイ(増田惠子)が高校卒業を控えた76年3月に日本テレビ系のオーディション番組「スター誕生!」に出場して同年8月に「ペッパー警部」でデビューするが、未唯mieはそれ以前にも単独で同番組に出演していた。

「役者になりたくて、1人で『スター誕生』を受けたんですね。中学3年の時でした。地元の静岡に『スタ誕』の収録が来まして」。ちなみに、ソロで受けた中学3年時、デュオで受けた高校3年時、いずれも「スタ誕」の司会者は萩本だったという縁もある。

ピンク・レディー時代もザ・ドリフターズのTBS系バラエティー番組「8時だョ!全員集合」などで、他のアイドル歌手らと共にコントをする機会はあったが、未唯mieは「当時、コントをやっているつもりもなく、ただ、台本に書かれたことを言われたままにやっていた感じだった」と回顧する。

むしろ、ライブでのMCで予期せぬ笑いが起きることもある。年明けからの新春恒例のライブツアー「新春〝Pink Lady Night〟2023」を盛況の内に15日で終え、その間、総勢20人以上のビッグバンドの顔として、MCで話す機会も多かった。「私から仕掛けて面白いことを言うつもりはないんですけど、ちょっと天然ボケのところもあったりするので、『えっ』ということをやらかして笑ってもらえたりというのはあります」という。

過去のコント舞台はいずれも都内だったが、今回は初の故郷・静岡での開催。「私は静岡市内の出身で、伊東とは離れていますが、同じ静岡ですから」と意欲的だ。

「これまでの舞台で私からアドリブをしかけることはなかったですけど、回りの方たちがアドリブをいっぱいされるので、それをどう受けていくかということに必死です。笑いが起きた時は楽しいですよね。もっともっと、そちら(コント)も頑張ってやってみたいと思います。スセリちゃんは欽ちゃんほど厳しくはないですけど、そういうチャレンジを毎回、どきどきしながらやるのが面白いし、楽しませていただいています」

コメディエンヌ・未唯mieが今年の笑い初めとなる舞台を見据えた。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

© 株式会社神戸新聞社