鳥インフルエンザが猛威 都内の養鶏業者や飲食店も苦慮

鳥インフルエンザが猛威を振るっています。今シーズンは全国ですでに60事例ほどが報告され、殺処分された鶏の数は過去最悪の1000万羽を超えました。東京都内の養鶏業者、そして暮らしに欠かせない卵の価格にも影を落としています。

立川市で親子3代にわたって60年近く鶏を育ててきた伊藤養鶏場は現在、東京ウコッケイなどおよそ5000羽を飼育しています。3代目の伊藤彰さんは「一言で言えば危機的状況。決定的な"これが原因”というのは分からないので、不安でしかない」と語ります。

鳥インフルエンザは明確な感染の原因が分からず、この養鶏場では6年前から年間を通して対策を続けているといい、「石灰を散布することで病原菌を殺し、持ち込まなくさせる働きがある。この時期だからというわけではなく、冬だろうと関係なく常に同じことをやっている」(伊藤さん)と話します。

入り口には消毒液を含ませたマットや桶を用意し、足を消毒することで施設にウイルスが入るのを予防します。さらに鶏の餌を狙う野鳥や動物がウイルスを鶏舎に持ち込まないよう、毎朝、穴がないか欠かさず点検しています。伊藤さんは「正直、やれることは全部やろうと思ってやっているが、それで100%かと言われると分からない。どの農場も対策をしている中で(鳥インフルエンザが)発生している。うちも同じように対策していても、発生してもおかしくない。それぐらい危機的状況」と話します。

<卵価格が2倍以上に オムライス店の経営を直撃>

危機感が募る鳥インフルエンザの猛威は卵の価格高騰も招いています。2022年1月の卸売価格は1キロ当たり140円でしたが、餌代の高騰も重なり、現在は285円となり2倍以上になっています。

多い時で1日におよそ500個の卵を使うという秋葉原のオムライス専門店「神田たまごけん」でも打撃は深刻なようです。店の早瀬翔太さんは「11月中旬は1キロ当たり360円だったが年末には400円を超え、過去に類を見ない上がり方になっている」と語ります。

店では食材費の高騰で2022年だけで2回値上げをしたため、これ以上の値上げは難しいとして、対応に苦慮しています。早瀬さんは「食材の原価なので防ぎようがない。様子を見つつ、工夫しながら提供していくしかない」と話しています。

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