500匹の猫がピンチ 沖縄最大の猫保護団体が経営悪化 従業員が退職 宜野湾

 保護猫約500匹を飼育するなど、沖縄県内最大の猫保護団体「NPO動物たちを守る会ケルビム」と「アニマルケアサービス」(いずれも宜野湾市)の経営悪化で、2022年12月~23年1月13日の間に従業員18人が退職し、猫の飼育が厳しくなっている。両団体の代表を務める中村吏佐さんは19日、本紙の取材に「元従業員やボランティアの協力を得て飼育している。運営を安定させるためにも経営体制の改善を図りたい」と答えた。

 両団体は運営するうるま市の猫保護施設「アニマルガーデン」で約220匹、宜野湾市のケルビム動物病院で130匹、同市の「猫カフェニャングスク」で150匹を保護している。現在、数人の従業員や元従業員、ボランティアらが猫を飼育しており、猫カフェと病院は閉鎖している。

 中村代表によると、約10年前から給料の支払いが遅れることが複数回あった。昨年2月ごろに活動費の主な収入源となっている病院の獣医師が不足し、診療の回数が減った。

 さらに病院に1人しかいなかった正規雇用の獣医が23年1月に辞職することになり、病院の閉鎖が決まった。給与の支払いができなくなるという理由で従業員7人に解雇通告を行った。

 元従業員の男性は「このような状況で500匹の面倒を見続けることができるのか」と疑問を示した。

 中村代表は事業縮小や自身の不動産売却を念頭に「元従業員には申し訳ないことをした。未払い給与を早く解消し、正規雇用の獣医師を探して病院を再開させるなどして経営の健全化に努める」と話した。

 県自然保護課によると、県動物管理センターが5日、病院を視察した。県の担当者は「飼育状況に問題はなかった。他の施設は、状況を見ながら検討する」とした。

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