25年大阪万博で日本の「世界遺産」発信 屋久島、奄美など5地域22市町村が新組織 「共生」「環境文化」アピール

市町村長らの発表を聞く「世界自然遺産5地域会議」の参加者=屋久島町の屋久島環境文化村センター

 日本の世界自然遺産地域や周辺地域の22市町村が18日、連携を深めるための「世界自然遺産5地域会議」を設立した。2025年の大阪・関西万博で「共生」や「環境文化」など日本型自然保護のメッセージを世界に向けて発信する。

 屋久島(鹿児島)と白神山地(青森・秋田)が遺産登録されて今年で30年になるのに合わせ、屋久島環境文化財団が企画した。準備会が同日、屋久島町の屋久島環境文化村センターであり、代表に屋久島環境文化財団理事長の小野寺浩氏(76)、事務局に同財団を選んだ。

 知床(北海道)、小笠原諸島(東京)、奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島を含めた5地域の首長らが現状や課題、自然保護と暮らしの両立事例をそれぞれ発表。青森県西目屋村の桑田豊昭村長は、白神山地を訪れる観光客に歴史文化や環境保護の意義を伝え、地域ぐるみで保存活動をしていると説明し、「万博を契機に日本独自の生活様式や景観美を発信し、誘客につながればいい」と期待した。

 今後は、5地域を活動領域とする民間企業や活動団体、関係機関、個人にも参加を呼びかける。毎年会合を重ね、暮らしと自然保護の「両立モデル」や新しい自然保護の「理念」を確立し、国内外に示す。小野寺代表は取材に「今までの自然保護は、人間と自然を切り離す欧米型の保護だった。これからは日本型の仕組みを深めていきたい」と話した。

 会に先立ち、知床世界遺産講演会があり、知床自然センター映画「知床の冒険」の上映や制作監督との対談があった。

縄文杉登山道のトロッコ軌道脇にある江戸時代に伐採された切り株の上に、スギやヤマグルマなど新たな植物が着生している=2021年12月、屋久島町
発足した「世界自然遺産5地域会議」のメンバー

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