イングランドのリヴァプールは15日、なでしこジャパンMF長野風花のリヴァプール移籍が発表した。
2021年の東京五輪後、池田太監督が就任したなでしこジャパン。長野は、2018年のU-20女子ワールドカップ初優勝など世代別代表で実績を残してきた池田監督のチームにおいて、主力を担ってきた選手の一人だ。
チームを“心臓”となるボランチのポジションで、この23歳がどれだけ輝けるか。今年7月から開催される女子ワールドカップではそこが見どころの一つになる可能性が高い。
そこでQolyは先日、長野風花に単独インタビューを敢行!
自身のプレーや珍しいキャリア、現地観戦した日本対ドイツなどカタールワールドカップに関する話、さらにはリヴァプールへの移籍を決断した理由などを聞いた。
長野風花はシャビが大好き!
――長野選手のプレーを見ていると、ボランチとしてやれることが多いと感じます。参考にしている選手はいるんですか?
参考にしているというか、そのプレーができるかできないかは別として、ずっとシャビ(・エルナンデス、現バルセロナ監督)選手が本当に大好きです。
プレーを見ていて本当に楽しいというか、こんなこともできるんだと。ずっとシャビ選手を見ていました。
――プレーの角度のつくり方とかが上手いと思っていたので、今シャビの名前を聞いて納得しました。中盤の選手としてピッチの真ん中で意識していることはどんなことですか?
真ん中なのでとにかく周りを見ています。
状況判断とよく言いますけど、情報をより多く得て、ミスをしないようにというか、“判断のミス”をしないようにすごく意識しています。
半年間プレーしたアメリカで感じたこと
――長野選手は筑波大学へ進学した1年後に韓国へ挑戦されたりと、結構珍しいキャリアを送っていると感じます。物事を決める時の基準は自身の中でどのように置いていますか?
本当に直感なんです(笑)。自分がちょっとでも「違うな」と思ったことはやっぱり続かない、というか。
大学の時も韓国へ行った時も、自分がこうしたいと強く思ったらすぐ行動に移してしまうタイプなので、本当に直感というか、色々考えた上での直感なんですけどそれに従っています。
――昨年7月から半年間、アメリカのNWSLでプレーされました。アメリカのリーグでプレーしてみてどんなことを感じました?
やっぱり一番は、すごく楽しかったです。楽しかったですし、リーグ自体もすごく日本と違って盛り上がっていました。
サッカーでいえば、本当にゴールへ直線的に、スピーディーに行くので、そういった今までの自分のスタイルとはまったく違うところでプレーするのもとても楽しかったです。
みんなとにかく上手いので、短い期間でしたけど本当に楽しかったです。
――サッカーの環境面でも違いは感じました?
まったく違いますね。私の所属したノースカロライナ・カレッジは、天然芝が7面、人工芝も1面ありました。とんでもなく大きい、何でも揃っている施設でした。
なかなか真似できないだろうなというくらい、環境もすごく良かったです。
――選手たちの特徴、考え方の違いとかはどうでしたか?
とにかくポジティブですし、明るいし、みんなに優しい。
でも、ふざけることも大好きだけど、ピッチに入ったら自分の意見や主張はすごくしっかりしているので、オンオフの切り替えがすごく上手ですし、シンプルに「かっこいいな」と思いました。
「同じ人間とは思えない」メッシ
――カタールワールドカップで日本とドイツの試合を現地観戦されてきたとのことですが、他の試合も結構見ていますか?
はい、見ています。
――どのチームが気になりました?
私は、もちろん日本をすごく応援していたんですけど、アルゼンチンをずっと注目して見ています。(※今回のインタビューは大会期間中に実施)
――今大会のアルゼンチンは長野選手の目にどのように映っています?
見ていて楽しいですし、もちろんフランスとかが強いというのは分かっているんですけど、でもやっぱりアルゼンチン。
メッシ選手だったり、チームとして戦っているところは試合を見ながら楽しませてもらっています。
――長野選手から見て、メッシ選手というのはどんな選手ですか?
同じ人間とは思えないというか、誰もがメッシが上手いと思っていて、何人も止めようとして止められない。しかも年齢もそんなに若くない中で、ああいうプレーをして…。
色々なプレッシャーもあるでしょうし、その中であれだけのプレーができるって、人間と思えないというか(笑)本当に神みたいな感じですね。
――そんなワールドカップ、日本代表のドイツ戦を現地で観戦して、感じたことだったりはいかがでしょう?
ただただ感動と興奮という感じでした。
いつも私も選手として試合をしていますけど、サポーターとして見に行って、本当に見ることができて良かったと心から思いますし、すごく感動しました。
――日本代表選手のなかで特に刺激を受けた選手は?
皆さん本当にすごいプレーをしていましたが、やっぱり三笘薫選手は筑波大学の一つ上だったので。
私は大学を卒業したわけではないですけど、当時から存在は知っていたので、やっぱりすごいなと思いました。
――同じポジションの遠藤航選手や守田英正選手、田中碧選手のプレーを見ていて感じる部分もありました?
もちろん同じポジションですし、遠藤選手の守備力とかは現地で見ていてもやっぱり感じました。
大事なところを止めていたり、遠藤選手がいることで日本が助かっていた部分がたくさんあったので、ただただすごいなと思って見ていました。
リヴァプールで「もっともっと成長したい」
――イングランドでの挑戦をされるということで、リヴァプール移籍を決断した理由をうかがってもいいですか?
イギリスのリーグでプレーすることが私の一番の夢だったというのもありますし、やっぱりサッカーはヨーロッパというところがあるので、強度が高いなかで自分が揉まれて、もっともっと成長したいという想いがあり決断しました。
――イングランドでは岩渕真奈選手(トッテナム)や長谷川唯選手(マンチェスター・シティ)、清水梨紗選手(ウェストハム)などがすでにプレーされています。どんなことを聞いていますか?
すごく激しいリーグだというのはよく聞きますし、街についても色々教えてくれるので本当に勉強になっています。
――今の時点で感じているリヴァプールのチームや街の印象は?
街の印象は、ちょっと田舎かな~(笑)というのはちょっとありますね。
――代表戦だと、昨年秋にイングランドやスペインといったヨーロッパのチームと対戦しています。アメリカと比較してヨーロッパのイメージというのは今現在どのように感じています?
やっぱりアメリカは、ゴールに対してすごく直線的にスピードがあって向かっていくスタイルです。
一方、イングランドやスペインといったチームはしっかり繋いできます。もちろんそこにスピードもありますけど、しっかり繋ぎながらゴールに向かってくるという印象はありました。
――2023年の女子ワールドカップではそういった欧米の強豪と戦います。勝利するために長野選手が必要だと感じていることは?
もちろん個人としても、一人一人がもっとできることを増やしたり個人のレベルアップというのはすごく本当に大切になってくると思います。
それでもフィジカルなどはどう頑張っても敵わない部分もあるので、やっぱりもっともっとチームとして、チーム力で。
日本代表がカタールワールドカップでドイツやスペインに勝ったように、やることを整理して、チーム力で勝っていくところはもっともっとやっていきたいところかなと思います。
――最後に、2023年はどんな一年にしたいですか?
チームも変わりますし、ワールドカップという大事な大会もあります。
まずは本当に怪我をせず、日々成長して、本当にサッカーを楽しんで、結果を残せるような一年にしたいと思っています。
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長野風花
1999年3月9日生まれ(23歳)
リヴァプール所属