つげ義春が詩人、写真家とともに巡った失われゆく日本の原風景の紀行『つげ義春流れ雲旅』が装い新たに刊行! 50年ぶりの鼎談も収録

漫画家・つげ義春、詩人・大崎紀夫、写真家・北井一夫の3人が、1970年前後に東北の湯治場や四国や九州のへんろ道などを巡った紀行『つげ義春流れ雲旅』が、ボーナストラックを大幅に加え、50年ぶりに復刊される(2023年1月20日発売、朝日新聞出版 刊)。イラスト、写真、テキストが三位一体となり、当時の旅の風景がたちのぼる一冊だ。 個人全集『つげ義春大全』(全22巻)の刊行、フランスのアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞受賞、漫画家としては初の芸術院会員となるなど、今また注目を集める伝説の漫画家・つげ義春。 詩人の大崎紀夫、写真家の北井一夫とともに、1969年から75年にかけて日本各地の風景の中にたたずみ、旅した記録を50年ぶりに復刊。下北半島の「バサマ会館」から始まり、岩手・秋田・山形の湯治場、福井・勝山の「左義長」の祭、白山白峰のカンコ踊り、四国のへんろ道、大分の国東半島の田んぼ道、福岡・篠栗のへんろ道など、当時20代後半から30代の3人が旅した味わい深き土地の記憶がよみがえる。 当時『アサヒグラフ』で連載した6つの旅のほか、新規収録作品として、『グラフィケーション』誌で訪れた2つの旅(天竜川をさかのぼる秋葉街道・最上川の渡し舟)、雑誌『るうじん』に掲載された、故・藤原マキも交えての旅にまつわる座談会、さらに50年を経ての鼎談まで加わった『流れ雲旅』の完全版。 当時の風景が、緻密かつ迫力のあるイラストで再現され、写真、文章とのコラボレーションが響きあう。つげ本人を写した写真も多数追加され、贅沢な一冊となっている。

【プロフィール】

つげ義春(つげ・よしはる)

1937年東京生まれ。54年に漫画家デビュー。貸本漫画などで活躍したのち65年より「月刊漫画ガロ」に短編を発表、「李さん一家」「海辺の叙景」「ねじ式」などで独自の境地を拓く。作品集に『無能の人』ほか、『貧困旅行記』などエッセイも執筆。2017年日本漫画家協会賞大賞受賞。20年アングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞受賞。22年日本芸術院会員となる。

大崎紀夫(おおさき・のりお)

1940年埼玉県生まれ。63年東京大学文学部仏文科を卒業後、朝日新聞社入社。「俳句朝日」「短歌朝日」編集長を務めた。退社後2001年より俳句結社「やぶれ傘」を主宰。著作に『詩集 ひとつの続き』『麦わら帽子の釣り本散歩』『nの箱舟 大人の童話』など。

北井一夫(きたい・かずお)

1944年満州生まれ。65 年日本大学芸術学部写真学科を中退、写真集『抵抗』を発表。71年『三里塚』を刊行、翌年日本写真協会新人賞を受賞。シリーズ「村へ」で76年に第1回木村伊兵衛賞受賞。作品集に『フナバシストーリー』『いつか見た風景』など。

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