あえて言おう、社会人だからこそ読むべき楽しい人生のための指南書であると。| 坂口恭平『中学生のためのテストの段取り講座』

自分をリープアップしてくれる本を、ライター目線で1冊ずつ紹介する「フクリパbooks」。 先回で『やっかいな問題はみんなで解く』をセレクトしてくださった「本と羊」神田さんによる、オススメの本をご紹介します。

今年最初のおすすめの一冊は・・・『中学生のためのテストの段取り講座』

って、これ社会人のためのおすすめ本なの?と思われた方には、ぜひ読んでいただきたい内容です。建築家・画家・ミュージシャン、そして「いのっちの電話」で知られる坂口恭平さんが書かれた一冊です。

「テスト勉強のやり方がちょっとわからない・・・」という、中学1年生の長女に坂口さんが「テスト勉強の極意」を伝授。塾にも行かず勉強時間も増やすことなく父の教えを実行した結果、5教科の合計点数が自己ベストを更新。その秘訣は勉強することではなく「段取り」を組むことにあった・・・。

勉強法ではなく段取り=日々のスケジュール表を作り、その通りにテスト勉強をするだけで成績は上がるということを教えています。

「大人」のみなさんにとってはこの部分を聞いただけでは、「何の役に立つのか」「そんなものは分かってる」と言われそうですが、実はこの本の真意は「ちゃんとした大人になれているのか」を気づかせてくれる本だと感じたのです。

また仕事やお金についての本質をまさに坂口さんの視点で捉え、解説してくれています。案外分かっているようで実はちゃんと理解していないまま成長し成人し、社会へ出ていってしまっていることに気付かされてドキッとする内容でもあるのです。

目次の流れでみると、坂口さんは段取り講座から大人になるということ、自立することの意味、学校教育の問題、将来に対しての考え方、会社でなぜ働くのか、仕事の意味とは、最終的には「あなた自身がお金になってください」と書いています。

お金になってください・・・お金を稼ぐということではなく、あなた自身の才能に自分で値段をつけ、お金になる生き方を目指して欲しいという考えなのです。

人生はスケジュール表が全て。毎日の段取りを組み、継続し、退屈しないように楽しむ技術を身につけ、才能をお金に出来るように成長し、そして自立した大人になって、人を助けなさいとも書いています。

細かい内容は書ききれませんので申し訳ないのですが、中学生に読んでもらうためにとても平易でわかりやすく書かれています。ですが大人にとっても、深い内容なのでぜひ1日のどこかでまず一気に読んでみてください。

本の帯に書かれていますが「大人が読んだらもう遅い?」
いえいえ、今からでもまだ間に合います。人生は日々段取りを組むことの毎日ですから。

あ、今日のタイトルはガンダム好きな方しか分かりません・・・あしからず。

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中学生のためのテストの段取り講座
坂口恭平(著/文)
出版社:晶文社
定価:1,300円+税
書店発売日:2022年7月27日
https://honto.jp/netstore/pd-book_31757914.html?partnerid=02vc01

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