菅前首相と分断狙い? 増税「唐突ではない」公明・北側副代表発言がじわじわ拡散

 公明党の北側一雄副代表の「増税方針は唐突ではない」との19日の記者会見での発言がSNSなどで与野党双方の関係者らに拡散されている。菅義偉前首相(衆院神奈川2区)が前日にラジオ番組で語った見解への反論。

 野党やその支持者から「国民の認識とかけ離れている」と批判的に取り上げられる一方、岸田文雄首相を支える自民主流派には「公明と菅氏の関係を断つ格好の材料」(首相に近い議員)と映り、「発信元が倍増」(同)しているためだ。

 事の発端は18日、ラジオ日本「岩瀬惠子のスマートNEWS」での菅前首相の発言だ。岸田首相が打ち出した防衛増税構想について「突然だった。もう少し国民がわかるような説明が必要だ」などと断じた。会見で感想を問われた北側副代表は「まったく唐突に増税の話があったとは理解していない」などと菅氏の見解を打ち消した。

 一方で北側氏は「国民負担は最小限にしなければならない。歳出改革などしっかり進めていかねばならない」と付言。先立って行われた12日の会見では岸田首相が表明した「異次元の少子化対策」の財源に関し「消費税の引き上げができるような経済環境ではない」と否定するなど、いずれも菅氏と同じ立場をとっており対立関係にはない。

 しかし、SNS上では「唐突ではない」発言のみが強調され「増税ありきで話をするな」など感想が添えられ広がっている。政府与党への批判にとどまらず「公明が菅氏を見放した証拠」などと解説し、同氏の政治的影響力の低下を印象付けようとしたコメントも見られる。外交評論家の孫崎享氏は自身のツイッターで「自民の政争に首突っ込むのか」(原文ママ)と指摘。北側氏の発言に疑問を投げ掛けている。

© 株式会社神奈川新聞社