朝乃山1敗対決制す、21日にも優勝 大相撲初場所13日目

金峰山を突き落としで下し12勝目を挙げた朝乃山(右)=両国国技館

 大相撲初場所13日目は20日、東京・両国国技館であり、元大関で西十両12枚目の朝乃山(28)=富山市出身、高砂部屋=は、東十両5枚目の金峰山(きんぼうざん)(25)=カザフスタン出身、木瀬部屋=との1敗対決を物言いの末に突き落としで制した。12勝1敗として単独トップに返り咲き、自身初となる十両優勝に大きく前進した。

 朝乃山は身長191センチの大柄な相手に対して押し相撲の勝負を選んだ。押し返されて土俵際に追い込まれたが、粘りの突き落としで相手の右手を先につかせた。金峰山の手がついたのと、朝乃山の左足が土俵外に出たのが同時だったのではないかと物言いがついたが、行司軍配は変わらなかった。取組後のリモート取材で「勝ちは勝ちだが、相撲内容には納得いっていない」と表情を曇らせた。

 14日目は、東十両7枚目で10勝3敗の千代の国(32)=三重県出身、九重部屋=と戦う。朝乃山が勝利し、2敗の金峰山が再び敗れれば、22日の千秋楽を待たずに朝乃山の優勝が決まる。

■「先に足出たと思った」  負けを覚悟していた。大相撲初場所13日目。十両優勝に向けた大一番となる金峰山との1敗対決に臨んだ朝乃山は、際どい土俵際での攻防に競り勝った。「自分的には先に足が出たと思った。相手の勝ちか、運が良ければもう1番かと思った」。物言いの末に拾った白星に「内容には納得いっていない」と悔しがった。  それもそのはず、この日は苦しい土俵だった。立ち合いで右胸で当たると、大柄な相手にまわしを取られないよう突っ張った。だが押し込み切れず、逆に圧力ある突きを受け防戦一方に。上体を起こされ土俵際でほぼ死に体となり、国技館は悲鳴とどよめきに包まれたが、俵に右足だけをかけてこらえ、左をはたくように突き落とした。

 物言いの結論が出るまでの間は、腰に両手を当てながら審判員を見つめた。軍配通り勝ち名乗りを受けると、土俵上で苦笑い。「勝ち名乗りで緩んでしまったのは悪いところ。直したい」と反省しきりだった。

 十両単独トップに返り咲いたが、最終盤への不安は残った。14日目にも自身初の十両優勝が決まる状況となったが「まだ2番ある。切り替えていきたい」。1場所での幕内復帰に向け、前に出る相撲で元大関の意地を見せられるか。(岸弦太)

物言いがつき、協議を待つ朝乃山(右奥)
観客席には朝乃山への大きな横断幕もあった
金峰山との1敗対決に朝乃山への大きな声援が送られた

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