私をスキーに連れてって世代 ゲレ食はカレーか?ラーメンか? さっぽろ単身日記

私をスキーに連れてって、の世代。

スキー場の食堂と言えば

「高い」

「混んでいる」

「それでいて大してうまくない」

そんなイメージだった。

分かっていてもつい立ち寄ってしまう。

ほかに食べるところがないということもあるが、冷えた体に空腹、スキー場で食べるという非日常的な空気が特別なイベントに変えてしまう。

Bスキー場にもロッジの2階に大きな食堂がある。

食券機を前にして立ちすくんでしまった。

ラーメンにするか、カレーにするか。

どちらかと言えばラーメンの気分なのだが、カレーの「早さ」も捨てがたい。

ラーメンは麺をゆがく時間が必要なので出来上がるまで少し待たされる。そのため行列ができていることが多く、さらに時間がかかってしまう。その点カレーはごはんにかけるだけだから、ちゃちゃっと食べるにはうってつけだ。

この日もやはりラーメンのカウンターには数人が並んでいた。悩みに悩んだあげく、注文したのは800円のカレーライス。待ち時間もなく受け取り、トレーに載せて空いているテーブルに座る。すると周りからラーメンスープの温かい湯気が漂ってきた。

ああ、やっぱりラーメンにすればよかった。

面倒くさがって列に並ばなかった自分を責めた。次は味噌ラーメンだな、と思いながら目の前のカレーライスを見つめる。こういうところのカレーって大抵似たような味だった。それなのにどうしてカレーにしてしまったのか。まあ、いまさら後悔しても仕方ない。おなかが膨らめばいいか程度の気持ちでスプーンを口にした。

ん?

想像していた味と違う。

どう表現したらいいのだろう。いままでスキー場の食堂で食べた、いかにも袋から取り出しました的なお決まりの味ではない。むしろ子どもの頃に家で食べたような懐かしい味。ほどよく煮込まれた豚肉もしっかり入っている。

20年ぶりのスキー。食堂のレベルも進化しているのか。

最近知ったのだが、スキー場での食事のことを「ゲレ食」と言うらしい。ゲレンデで取る食事の略。ネットで「ゲレ食」と検索すると、各地のご自慢のメニューがずらっと出てくる。そんな中で気になるワードを発見した。

「ゲレ食バトル」

長野県のスキー場の「ゲレ食」ナンバーワンを決める〝総選挙〟だそう。長野県の公式観光サイトに今シーズンのエントリーメニューが紹介されている。第8回とあるので毎シーズン開催されているらしい。

中でも目を引いたメニューがこれ

「オーブンで作る旨辛チーズ牛カルビ野沢菜ライス」

一体どんな味なのか。

信州のおいしさが凝縮されているのは間違いなさそうだが…

北海道も負けていない。

小樽市のホテル「OMO5小樽by星野リゾート」は小樽天狗山スキー場の山頂カフェでお寿司を提供するサービスを始めた。その名も

「ゲレンデ寿司」

目の前で、小樽の有名店の寿司職人が冬の小樽ならではのネタを握る。そんなお寿司をゲレンデと海の絶景を眺めながら食べる究極の「ゲレ食」だ。宿泊者限定で、料金はなんと1人2万円!

もはや「ゲレ食」はスキーついでの食事というカテゴリーを超えてしまった。

偉そうに「ゲレ食」を語ってしまったが、札幌に来てからまだ800円のカレーライスしか食べていなかった。次は味噌ラーメンにしよう。

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