ドアノブや手すり向け抗菌シート 就実大講師ら開発「安全性高く」

実証実験を進めている就実大の図書館で、抗菌シートを確認する山田講師

 就実大(岡山市中区西川原)の山田陽一講師(微生物学)らの研究グループは、不特定多数の人が触れるドアノブや手すりに貼り、黄色ブドウ球菌などの接触感染を防ぐ抗菌シートを開発した。2022年度内の販売開始を目指し、実証実験を進めている。

 不織布の表面に、内部が空洞になっている鉱物・アロフェンの粒子(3.5~5ナノメートル)を吹き付けて薄い膜を形成。空洞に、松やにが由来で安全性の高い「デヒドロアビエチン酸」を染み込ませる。

 人が触れると、人体の水分や油分に反応して薬剤が溶け出し、効果を発揮する仕組み。山田講師によると、敗血症や食中毒などを引き起こす黄色ブドウ球菌のほか、虫歯の原因となるミュータンス菌などにも効果が見込めるという。

 グループは、黄色ブドウ球菌を入れ黄色く濁った水に、1平方センチ当たり250マイクログラムのデヒドロアビエチン酸を塗り込んだシートを浸す実験を実施。24時間後には殺菌され、水は透明になっていた。

 実証実験は昨年4月から、大学の図書館や付属薬局(同市北区田益)などで行っている。7センチ角のサンプルで効果が持続する期間を確認するなどしている。開発に協力している品川ゼネラル(備前市東片上)が製造販売する予定。商品はA4サイズを想定。多くの人が触れる場所に、つなげたり切ったりして使用してもらう。

 山田講師は「安全性が高く、保育や医療の現場でも使いやすい。安心して活用してもらえるよう開発を進めたい」と話している。

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