終末期の食「希望の方法 共有を」 岡山で県民公開医療シンポ

口から食事を取る重要性を訴える小山理事長

 終末期の食事をテーマにした県民公開医療シンポジウムが21日、岡山市北区駅元町の県医師会館三木記念ホールであった。NPO法人「口から食べる幸せを守る会」(神奈川県)の小山珠美理事長が基調講演し、自らの口で食べ続ける重要性について訴えた。

 小山理事長は、今の医療現場は、食べたものが誤って気管から肺に入り引き起こされる誤嚥(ごえん)性肺炎や窒息を恐れ、チューブで胃に直接栄養を送る「胃ろう」など人工栄養に頼りがちだと指摘。長期になると胸に水がたまる胸水や口腔(こうくう)機能の低下を招きやすいとした。

 1年近く人工栄養を取っていたお年寄りがゼリーを口で食べる訓練を重ねた結果、1カ月程度で自ら食事できるようになった支援事例を紹介。「食べる幸せを感じることで心身機能の回復が早まる人もいる。急な入院などに備え、希望する栄養摂取の方法について普段から家庭内で共有しておいて」と呼びかけた。

 医師や歯科衛生士、管理栄養士らによる意見交換会もあり、誤嚥を防ぐ口の体操やバランスよい栄養の取り方などが紹介された。

 県民や医療関係者ら165人が聞いた。

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