集まった警察・消防車両…文化財の飲食店全焼、地元で残念がる声 3月から小江戸川越春まつり、復興は

川越市文化財の飲食店が全焼 観光客に人気の商店街=川越市

 20日午後9時15分ごろ、埼玉県川越市連雀町の飲食店「ウッドベイカーズ川越店」から出火し、木造2階建て店舗が全焼した。

 全焼した店舗は「蔵造り」建築として、市の有形文化財にも指定されている「加藤家住宅」だった。

 現場は西武新宿線本川越駅から北に700メートルの地点で、蔵造りの飲食店や土産物店が並ぶ、観光客に人気の商店街「大正浪漫(ろまん)夢通り」の一角。

■川越春まつりに復興間に合えば

 21日は休日ということもあり、川越市街は大勢の観光客でにぎわっていた。加藤家住宅前には火災鎮圧後も消防車両や警察車両が停車し、出火原因や被害状況について調べていた。

 市文化財保護課によると、火災のあった加藤家住宅は1992年4月12日に市の有形文化財に指定されたという。明治30(1897)年代に、金物商の店蔵として建築、正面のみを土蔵造りとして、外壁は大谷石を“コの字”形に巡らせた蔵造りの中でも特徴的な建造物だという。

 小江戸川越観光協会の根岸督好専務理事は「蔵造りは明治26(1893)年の川越大火を契機に、火災に強い建物として、こぞって建てるようになった。延焼しない構造ではあるが、文化財が燃えてしまったのは残念。3月から始まる小江戸川越春まつりまでに復興してくれれば」と話していた。

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