【都市対抗男子駅伝】神奈川チームの小野大輔総監督 亡き名将の志を次世代に 先輩・後輩の間柄「器の大きい人」

神奈川の主将内田(右)と握手する小野総監督=22日、広島市

 「神奈川を一つに」─。22日に広島市で行われた全国都道府県対抗男子駅伝。神奈川の総監督を務めた小野大輔・神奈川陸上競技協会強化部長(41)=東海大相模高教=は、数々の選手を育て2020年12月に57歳で急逝した前総監督加藤智明さんの後任として、21年度からチームを束ねる。「最強であり、最高のチームをつくる」。亡き名将の熱き志が、小野さんを通じて次世代に受け継がれている。

 3年ぶりの安芸路を駆けた男子の神奈川は28位に終わった。昨秋の国民体育大会、東日本女子駅伝、15日の都道府県対抗女子駅伝に続き、4大会全てで県選手団を率いた小野さんは、「加藤先生のお墓の前でようやく報告ができる。結果は笑い飛ばされるかもしれないけど」と実感を込めた。

 加藤さんとは東海大相模高、東海大で先輩・後輩の間柄。小野さんは東海大大学院などを経て、11年春から母校の体育科教員に着任。「みんなに顔を覚えてもらうために、あいさつからしっかりやれよ」と、競技会で加藤さんから激励されたのをよく覚えている。

 小野さんは13年から神奈川陸協強化部に関わり、横浜市立田奈中学、金沢高校を指導しながら17年から強化部長となった加藤さんを支えてきた。

 厳しくも温かい人柄で、「とにかく器の大きい人だった」と小野さん。印象に残っているのは、国体の選手選考会議。加藤さんは口を閉じ、じっとスタッフの意見に耳を傾けた。「中学、高校など垣根を越えて神奈川を一つにまとめるためには、全員が腹を割って話さないといけないと感じた」と小野さん。「誠実に向き合う」という自身のモットーの源になったという。

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