栃木県営処分場9月稼働へ 不法投棄から33年、整備事業大詰め【動画】 那珂川町の「エコグリーンとちぎ」

屋根に覆われた県営処分場「エコグリーンとちぎ」の内部を見学する地域住民ら=22日午後3時40分、那珂川町馬頭

 栃木県那珂川町で整備が進む県営管理型産業廃棄物最終処分場「エコグリーンとちぎ」について、県は9月の稼働開始を目指す方針であることが22日までに分かった。県営処分場計画は、旧馬頭町時代の1990年に同町北沢地区で起きた産廃の大量不法投棄を契機に持ち上がり、反対運動もあって長期化した。不法投棄から33年、整備事業は大詰めを迎えている。22日は現地見学会が開かれ、地域住民約50人が屋根に覆われた処分場の内部に入って全容を目にした。

 同町和見、小口地区にまたがる県営処分場は、燃えがらや汚泥、木くずなどの管理型産業廃棄物を処分する県内初の施設となる。

 埋め立て地を屋根で覆い、粉じんの飛散や騒音などを抑制するクローズド型で、埋め立て容積は約60万立方メートル。施設は南北280メートル、東西180メートル。底部から地上までが20メートル、屋根までの高さがさらに10メートルある。県によると、同型としては全国最大規模となる。

 北沢地区の不法投棄産廃と県内の管理型産廃を受け入れ、埋め立て期間は約12年間。埋め立て地から出る「浸出水」は浄化処理した後、廃棄物への散水に利用する循環型を採用し、周辺河川には放流しない。

 民間資金活用による社会資本整備(PFI)を導入し、事業体「クリーンテックとちぎ」が設計、建設、運営、維持管理まで担う。

 本体は2020年7月に着工し、屋根や外壁はほぼ完成。埋め立て地は傾斜が整い、全体に遮水シートを張る前の段階となった。浸出水処理施設や管理棟を整備し、6月から試運転、9月の本稼働を目指す。その後11月を目安に中間処理施設を設け、全体が完成する。

 この日の見学会は2回にわたって行われ、住民らは埋め立て地の底部まで下りて広大な空間を見渡した。国の基準を上回る遮水システムや漏水検知システムなどを県の担当者が説明。住民らは水処理の方法などについて熱心に質問した。町内の男性(80)は「心配もあったが、実際に見て施設のことがよく分かった。何より安全安心な稼働に努めてもらいたい」と話した。

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