吃音の若者、接客に挑む 「注文に時間がかかるカフェ」宇都宮で初開催【動画】

「注文に時間がかかるカフェ」で接客する阿部さん。オープン直後から多くの来客でにぎわった=22日午後、宇都宮市中戸祭1丁目

 言葉が滑らかに出てこない吃音(きつおん)への理解促進を図ろうと、当事者の若者が店員として接客する「注文に時間がかかるカフェ」が22日、宇都宮市中戸祭1丁目の書店「書肆(しょし)ひるね」で開かれた。茨城県かすみがうら市、流通経済大4年阿部武琉(あべたける)さん(22)が接客に挑戦し、客とじっくり話しながら交流を深めた。

 吃音当事者の奥村安莉沙(おくむらありさ)さん(30)=東京都目黒区=が発起人で、趣旨に賛同した同書店との共催イベント。本県では初めて開催した。開店前から約50人が並び、スタッフから説明を受けた後に1組ずつ入店した。

 今春から新社会人の阿部さんは、会話に自信を付けようと参加。「最後まで聞いてください」と書いたマスクを着け、各テーブルを回って吃音に関するクイズを出題した。吃音当事者やその家族、言語聴覚士を目指す高校生らが熱心に阿部さんの体験に耳を傾けた。

 吃音があるという宇都宮市瑞穂野北小3年増渕悠希(ますぶちゆうき)君(8)は「中学生になって、どもって話したら笑われるかなと思っていたが、話を聞いて自信を持てた」と笑顔を見せ「これからも頑張ってください」と阿部さんにエールを送った。阿部さんは「吃音症だから接客はできないと思っていたが、行動を制限する必要はないと改めて思えた。当事者とも話せて、すごく良い機会になった」と話した。

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