熊本城マラソン、復興へ恩返しの走り 昨年福岡Vの塚本さん 古里・益城の応援で成長

「益城入魂」の鉢巻きを締めて熊本城マラソンに挑む塚本浩一さん=熊本市中央区

 2016年の熊本地震をきっかけに、自称「復興ランナー」として走り始めた市民ランナーがいる。肥後銀行の塚本浩一さん(30)=菊陽町=は、被災した古里の益城町への思いを胸に2月19日の熊本城マラソンに挑む。県外大会での優勝を引っ提げての凱旋[がいせん]出場に「支えてくれた地元の人たちへの恩返しになる走りをしたい」と意気込む。

 益城町宮園の実家は、熊本地震で全壊した。同居していた祖母が心労で倒れたり、避難所の体育館を3~4カ月も転々としたり、生活が一変した。

 心がふさぎがちになり、リフレッシュを目的にジョギングを始めた。大きな被害を受けた町の景色を目の当たりにしながら走り、自分にできることはないかと考えた。高校時代は陸上部で中距離の選手。「多くの人の目に触れるマラソンに挑戦して益城出身者が頑張る姿を見せ、復興に向かっていることを伝えよう」と思い立った。

 練習場所は、復興事業が進む県道熊本高森線や町総合運動公園。挑戦を知った地元の人たちの応援が力になった。トレードマークは、紺色の生地に黄色の糸で「益城入魂」の4文字を刺しゅうした鉢巻き。額に締めた決意の証しは、きつい時も力がみなぎり、地域に見守られていることが実感できるという。

 マラソンは震災前に一度だけ経験があり、3時間58分で完走した。震災後に挑んだ大会では、途中棄権や3時間台の成績が続いたが、「上位に入れば、より注目してもらえる」と練習に励み、少しずつ走力を伸ばしてきた。

 迎えた昨年11月の福岡マラソン。自己記録の2時間28分24秒で走りきり、初優勝を果たした。ヒーローインタビューでは、古里への思いを切々と語った。「マラソンを始めた当初の目的がかない、感極まった」と喜びの瞬間を振り返る。

 12月に山口県であった防府読売マラソンでは、2時間25分28秒と記録をさらに更新した。熊本城マラソンは2時間20分台前半と8位入賞を目指す。地元の人たちも応援に駆け付けてくれる予定で、「成長した姿を見てもらいたい」と号砲を待ち望んでいる。(東誉晃)

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