マックも…止まらない値上げラッシュ、2023年家計の負担はいくら増える? 単身〜4人家族の負担額をFPが解説

2023年も2022年に続き、値上げラッシュが止まりません。マクドナルドは、2022年に3月、9月と2度の値上げが行われていますが、さらに2023年1月16日からも約8割の品目に対して値上げすると発表しています。マクドナルドの例のごとく、短期間のうちに2度、3度と価格改定を行う企業が多く、家計への負担増が止まりません。

「このまま値上げが続いたら、家計はどうなるのだろう…」と心配されている方も多いことでしょう。今後の家計を切り盛りする上で、様々な節約のアイディアを練っていただけるよう、それぞれの家族構成ごとに対し、どのくらいの家計負担が増えるのか紹介します。

※本稿は、家計負担がいくら増えるのかに焦点を絞り、具体的な節約術はMONEY PLUSに掲載されている記事をぜひご参照ください。


■食品の平均値上げ率 2022年14%・2023年18%、合計で32%増加

帝国データバンク「食品主要105社価格改定動向調査」(2023年1月)によると、上場している食品メーカー105社が扱う食品のうち値上げ予定の品目は、2022年1月~12月までの1年間で、累計2万822品目でした。短期的にも類を見ない値上げラッシュとなり、1年間での平均の値上げ率は14%となりました。

続く2023年は、1月が580品目、2月が4283品目、3月が1837品目、4月が690品目と値上げが続いており、累計で7390品目にものぼります。昨年同期と比較して値上げ品目だけで58%増となっています。2023年の平均値上げ率は18%であり、2022年と比べて4ポイントも高くなっています。

2023年に特に値上げが多いのは、 冷凍食品や缶詰、麺製品、かまぼこなどの水産練り商品やシリアルなどの加工食品 で、3897品目もあります。2023年の値上げの理由は、小麦・砂糖・食用油・食肉などの原材料価格の高止まり、包材資材や物流コストの上昇、円安による輸入コスト増などの影響が長引いているためです。コストが上昇した分を、未だ価格に転嫁されていないため、この値上げは今後もしばらく続く見込みです。そうなれば、家計の負担はますます大きくなるでしょう。

●2023年の食品値上げ(12月31日時点)品目数/月別

出典:株式会社帝国データバンク 「食品主要105社」価格改定動向調査―2023年1月

■電気代 2023年は約10~20%値上げとなる可能性あり

電気代などが含まれる光熱費は、天然ガスや石炭、原油など燃料代の高騰や、急激な円安の影響を受けます。実際に、2022年末には、東北電力や中国電力など電力大手5社が、電気料の規制料金について値上げすることを国に申請しました。

それぞれの平均値上げ率は、東北電力が32.94%、北陸電力が45.84%、中国電力が31.33%、四国電力が28.08%、沖縄電力が43.81%であり、最終的な認可が下りるまでには4か月程を要します。実際の光熱費の値上げとなる4月以降から、家計に大きく影響を与えることになるでしょう。

しかし、経済産業省の発表によると「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により2023年1月から電気料金やガス代など、規制料金から約20%の値引きが行われます。そのため、先述した30~40%ほどの値上げ率がそのまま家計の負担となることはなく、約10~20%にとどまると考えられます。

以上の値上げが、単身世帯から4人家族世帯の家計に対し、どのくらいの負担が増えるのか、みていきましょう。

出典:電気・ガス価格激変緩和対策の実施のため、電気・ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました(METI/経済産業省)

■2人以上世帯の値上げによる家計負担増はいくら?

食品や光熱費などの値上げによる家計への支出増の数字について、みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、政府によるさまざまな物価高対策の対応も含めた場合、2人以上の世帯の負担額は、前年よりも平均で9万6368円増えると試算しており、大まかな内訳は次のとおりです。

【2022年の負担増の内訳】
・食費:年4万6411円増
・エネルギー費:年2万2418円増
・その他:年2万7539円増

●食料・エネルギー等の家計負担増額一覧(2022年度)

みずほリサーチ&テクノロジーズ作成

2023年分の1年間あたりの増加は、3万9750円と見込んでおり、内訳についても次のとおりです。

【2023年の負担増の内訳】
・食費:年2万8693円増
・エネルギー費:年▲8812円減
・その他:年1万9870円増

エネルギー費に含まれる費用は、電気代以外に、ガソリン代も含まれています。電気代やガソリンのもとになる原油は、2022年10月~12月の1ドル=147円に比べ、2023年は1ドル=130円前後で円高に進展していること、欧米の景気減退により下落傾向にあります。また、政府によるガソリン代価格の激変緩和措置、電気代・ガス代抑制策などの総合経済対策の効果による抑制効果もあり、2022年に比べると、エネルギー費はマイナスになります。

●食料・エネルギー等の家計負担増額一覧(2023年度)

みずほリサーチ&テクノロジーズ作成

原油価格の下落、円高に推移、政府による経済対策など、諸々の効果が重なり、2022年度の家計費負担増と比べれば2023年度の家計への負担は少なくなります。2023年の値上がりする項目は、食費、その他に含まれるサービス分野(外食や宿泊費)などです。

食費は、先述したように今後も値上げが続くためです。その他に含まれるサービス分野(外食や宿泊費)については、コロナの行動制限がなくなりつつあり、対人サービス・インバウンド需要の増加となりますが、人手不足になっている業種です。そのため、求人・採用などの人件費が上昇して、値上げにつながります。

一方、エネルギー費は、電気代・ガス代の値上げもありますが、ガソリン代が下がること、政府対策などがあり、2022年度よりも緩和されます。とはいえ、年3万9000円、1か月あたりでは3250円の負担が増えます。

■単身世帯、3人家族世帯、4人家族世帯の値上げによる家計負担を試算

続いて、単身世帯、3人家族世帯、4人家族世帯の家計への影響をざっくりと試算します。先述の数字を2人家族と仮定し、単身世帯は半分、3人家族は食費のみ×3、4人家族は食費のみ×4で簡易的に試算します。

●単身世帯の家計へ影響
2023年分の単身世帯に対する平均負担増額:3万9750円÷2=1万9875円
★2023年分の単身世帯に対する負担額合計:1万9875円(1か月あたり1656円の負担増)

(参考)2022年分の単身世帯に対する平均負担増額:9万6368円÷2=4万8184円
2022年分の単身世帯に対する負担額合計:4万8184円(1か月あたり4015円の負担増)

●3人家族の家計への影響
2023年分の3人家族に対する食費負担増額:2万8693円×1.5=4万3039円
2023年分の3人家族に対する食費以外負担額:1万1058円
★2023年分の3人家族に対する負担額合計:5万4097円(1か月あたり4508円の負担増)

(参考)2022年分の3人家族に対する食費負担増額:4万6411×1.5=6万9616円
2022年分の3人家族に対する食費以外負担額:4万9957円
2022年分の3人家族に対する負担額合計:11万9573円(1か月あたり9964円の負担増)

●4人家族の家計への影響
2023年分の4人家族に対する平均負担増額:2万8693円×2=5万7386円
2023年分の4人家族に対する食費以外負担額:1万1058円
★2023年分の4人家族に対する負担額合計:6万8444円(1か月あたり5703円の負担増)

(参考)2022年分の4人家族に対する平均負担増額:4万6411円×2=9万2822円
2022年分の4人家族に対する食費以外負担額:4万9957円
2023年分の4人家族に対する負担額合計:14万2779円(1か月あたり1万1898円の負担増)

■節約対策は「まとめ買い」「ポイント還元」「キャッシュレス」「電気代対策」

2023年の家計負担増は2022年に比べれば少ないとはいえ、食品や、電気代、外食サービスなどの値上げラッシュは、これからもしばらく続き、家計への負担は重くなる一方といえそうです。そんな中、給料アップに期待したいものですが、企業業績との兼ね合いもあり、一筋縄ではいかない現状もあります。

今の状況でできることといえば、やはり「節約」。値上げ率の高い、加工食品やお菓子、酒類は今まで通りではなく、月ごとに予算を決めて購入したり、価格の比較的安定した旬の野菜・果物などを中心メニューに取り入れたりしましょう。

また、スーパーやドラッグストアなどのポイント倍デーを活用し、キャッシュバック率を高める工夫など、できることに取り組みましょう。外食は特別な場合のみ利用するなどメリハリのあるルールを設けましょう。

しかし、暑い季節・寒い季節に電気代を節約しすぎるのは、健康的とはいえません。窓からの熱気・冷気を遮断するために、厚手のカーテンに変えたり、窓サッシに隙間テープを貼ったりすると、暑さ・寒さが緩和されます。その分少しお金がかかりますが、支出をケチってばかりいても節約につながらない場合もあります。長い目で見て、節約になるお金の使いどころを工夫しましょう。

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