小栗伝説の世界を熱演 田辺、市民劇団が観客魅了

観客を魅了したミュージカル、小栗判官ものがたりの舞台(22日、和歌山県田辺市で)

 海南万葉の会と劇団たなべ座による「ミュージカル OGURI~小栗判官ものがたり」の公演が22日、和歌山県田辺市の紀南文化会館小ホールであった。観客は舞台で繰り広げられる小栗伝説の世界に魅了された。

 熊野古道沿いの各地に残る小栗伝説を次世代に継承しようという取り組み。県文化振興事業補助事業。紀伊民報など後援。

 照手姫と恋に落ちた小栗判官が、謀略によって毒殺され、餓鬼阿弥となる。小栗は土車に乗せられ、多くの人の情けを受けながら険しい道のりを本宮の湯の峰温泉まで引かれてくる。つぼ湯につかり、蘇生するというストーリー。

 劇団たなべ座とかいなん市民劇団KCMのメンバー計22人が出演し、歌や踊り、映像も織り交ぜながら、伝説の世界を心を込めて熱演した。幕が下りると大きな拍手が送られた。みなべ町の男性(75)は「演出が良かったし、迫力があって素晴らしかった」と感動した様子だった。

 たなべ座の泉清代表は「KCMのメンバー以外はほとんどが素人だったが、多くの人の協力でここまで来ることができた」とあいさつ。脚本を担当したKCM代表で、熊野古道の語り部でもある東道さん(和歌山市)は「いまの時代に、熊野の心を伝えたいと思って今回の公演に至った。たなべ座や応援してくれる皆さんのおかげ」と感謝した。

 開演前には、田辺市本宮小学校の児童たちが、同市本宮町に伝わる県指定無形民俗文化財の「平治川の長刀踊(なぎなたおどり)」を披露した。また、21、22日には小栗判官の伝説を伝える田辺市内各地を巡るウオークイベントもあった。

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