施政方針「決断と議論」順序が逆 サミット直後に解散も 国会開会で政治評論家・角谷氏

角谷 浩一氏

 通常国会が23日開会した。防衛費倍増や子育て支援拡充に向けた財源確保策などを巡り、統一地方選をはさんでの激論が予想される。横浜市出身で与野党双方の議員に人脈を持つ政治評論家・角谷浩一氏は「先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)以降はいつ解散総選挙があってもおかしくない」と見る。角谷氏に施政方針演説への感想や政局を含めた今年の展望を聞いた。

 ─岸田首相が防衛3文書見直し、原子力発電の積極活用などの政策転換を矢継ぎ早に打ち出した。その背景をどう見るか。

 「『ハト派の穏やかな人』との世間の見方が間違っていたのかもしれない。就任してからの1年は新型コロナ対策に追われたことに加え、安倍晋三元総理という抑えも存在した。麻生太郎党副総裁ら長老にも配慮し安全運転を続けていたと思う。その間に衆参両選挙を乗り切って自信を持ったのでは。安倍さん亡き後に『自分がやらねば』と意を強くした側面もある」

 ─先の臨時国会では閣僚4人を事実上更迭せざるを得なかった。舵(かじ)取りやリーダーシップへの国民の疑問符が支持率低迷の背景とされる。

 「総理本人にはそのような認識はない気配だし、周囲も助言や忠告をちゃんとしない。米国や霞が関(官僚)から支持を得られれば何でも進められるとの思惑がうかがえて危険だ。国会審議を経ない閣議決定は議員のみならず国民からも支持されない。国会で厳しい追及をうけるべきだろう。施政方針では『議会においては決断と議論が重要』と説いたが順序が逆。決断や実行は議論の先にこそあるはずだ」

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