マイクラで小学生ドット絵展、きっかけは子どもの疑問 福井県越前市、スペース気にせず全員の作品披露

「マインクラフト」を活用した小学生の絵画展を企画した福井県越前市職員の波多野翼さん=越前市役所

 福井県越前市は、仮想空間で自由に遊べるオンラインゲーム「マインクラフト」を活用し、同市の「宝物」をテーマに市内小学生から寄せられたドット絵を飾る展示会を企画した。入賞作品のみを展示する通常の絵画コンクールと異なり、仮想空間を使うため応募者全員の展示スペースを用意できるのが特徴。企画のきっかけは、担当職員が次女から投げ掛けられた素朴な疑問だった。

 北陸新幹線福井県内開業に向けて仮想現実空間「メタバース」を活用した情報発信を目指す市の施策の一環。マインクラフトは、メタバースの一種で、仮想空間内にブロックを配置して建物を造ることなどができる人気ゲーム。今回の「ドット絵ECHIZEN展覧会」は、マス目を塗りつぶして描いたドット絵を募り、ブロックの配置に置き換えて展示する。

 企画したのは市政策推進課の波多野翼さん(38)。昨年度に児童の入賞絵画が展示された会場で、当時小学1年の次女がこぼした言葉が心に引っかかっていた。「なんで選ばれた子しか飾られないの? みんな頑張って描いているのに」。波多野さんは「展示スペースに限りがあって、たくさんの人が一度に見に来ると大変だからね」と次女を諭したが、後にメタバース担当となり「無限に広がる仮想空間を活用すれば解決できるのでは」と思い至った。

 テーマは「わたしが思う越前市の『宝物』」で、16マス四方のマス目を指定する12種類の色で塗り分けて描いた絵を募集。市内の全小学校を通じて参加を呼び掛け、児童たちが冬休みなどに制作した作品が集まった。プロゲーマーらのチームがマインクラフトの世界に絵を再現し、2月26日に公開する。同ゲームのプレーヤーは、所定のアドレスを入力すると展示した仮想空間を訪れて作品を鑑賞できる。

 波多野さんは「初めての取り組みで試行錯誤になるけれど、応募した子どもたち全員の絵を飾れて、世界中どこからでも見に来てもらえる展示会になる。子どもならではの発想を生かした作品で、越前市の魅力を伝える機会にしたい」と話している。

 賞選定の審査も行い、副賞としてマインクラフトのグッズなどを贈る。表彰式を2月26日午前10時から市役所eホールで行う。問い合わせはプロジェクト事務局=電話0778-21-5040。

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