居眠りや“内職”する議員も…地方議会はどう改革すべき?論客「ITの導入を」

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」のコーナーでは、“地方議会”をどう改革するべきか、Z世代とXY世代の論客が議論しました。

◆一部の地方議会では居眠り、読書をする議員も

国会や地方議会では稀に居眠りや読書をしている議員を見かけますが、千葉県の市川市議会では市民からの苦情が相次ぎ、議員席の様子を生配信する防止策を導入。地方議会では市民の理解と参画を促すため、さまざまな議会改革が始まっていますが、果たして議会はどうあるべきなのか。

まずはZ世代を代表し、株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんが「全員の時間の有効化を」と主張。

「そもそも論として、今の議会は多くの人がずっと座って聞いているだけで参加することがない。そのあり方が問題」と訴えます。そして、打開策として「チャットのようなみんなが参加できる場所を用意し、議員が思っていることなどを主張できるような仕組みにしたほうが有効的」と話し、議員がリアルで集まっているからこそ、その時間を有効化するためにもチャット機能の導入を推奨。

XY世代のライターのヨッピーさんも小幡さんの意見に賛同。「一般的に報告・連絡・相談とあるが、議会や会議は基本的に相談をする場のはずなのに報告と連絡に時間を取られている。それは眠くなる気がするので、前提条件などを全てインターネットやチャットなどで共有し、会議すればいいと思う」と自身の見解を述べます。

一方、XY世代のキャスターの堀潤は「(地方議会を)もっと見よう」と提案。「そもそも地方議会を見ていますか?」と問いかけ、「実は見てみるとめちゃくちゃ面白い」と地方議会の魅力を熱弁。

Z世代のHealth for all.jp代表の茶山美鈴さんは、市川市議会のようにカメラを設置し、居眠りをしないよう監視するのは「本質的な解決策ではない」と指摘。というのも、「(議員が)寝てしまうほど議題が本質をついていない、発言することがないなど、そのほうが問題」と話します。

まずはそこを改善するべきで、さらに議会で、議会とは関係のない別のこと、いわゆる"内職”している議員についても言及。「"内職”している理由が普段の業務で忙しいからなのであれば、彼らの働き方改革を考える必要がある。理由によって打つ手をいろいろ考えるべき」とし、小幡さんの"全員の時間の有効化を”という意見に同意します。

◆いろいろと大変…地方議員の現状を視聴者が吐露

番組Twitterの「スペース機能」に参加していた視聴者からは「国会も地方議会も市民の生活に直結する内容を議論しているのだから、視聴率に関わらずテレビなどで放映すべき」という意見が。さらに、別の視聴者からは「自分も含め、議会に関心がなさすぎるのが問題」と市民側の意識に関するコメントも。

こうした意見を聞き、堀は議会自体だけでなく、その内容を伝える術や市民の参加の仕方などにも改善の余地があると話すと、ここでヨッピーさんからは「YouTubeライブのように良い議論をしたらスパチャ(スーパーチャット)を投げられるようにすればいい」との意見もあり、堀は「それが税収になる!」と興味を示します。

さらにヨッピーさんは「議会のIT化」を熱望。その上で「議会の内容を事前に共有し、全員チャットやメールのやりとりを全て公開すべき」と望むと、小幡さんは「それはもう民間だと当たり前に行われている。そろそろ議会でもやってほしい」と地方議会のIT化の遅れを嘆きます。議会のIT化について茶山さんも共感し、「ぜひどこかの自治体でもロールモデルとして導入してもらい、それが全国に広がれば」と期待を寄せます。

街頭で話を聞いてみると「(地方議会は)全然わからない。自分にとってあまり関わりがない」(18歳 男性・大学生)、「年のある程度いった人たちが地方のために尽力する会議。若い人がいないイメージ」(22歳 女性・大学生)という声や、「本読んだり、寝たり、ちゃんと仕事をしていないというイメージ。税金をもらって働いている意識を持ってほしい」(20歳 男性・大学生)という厳しい声も。

堀は、「自治体のなかにはちゃんと情報公開を徹底し、動画で(議会を)いつでも見られるようにしているところや、ライブ中継をしているところもある。しかし、議事録さえ公開されていない地方議会もあり、そのあたりのプラットフォーム化を国・総務省でやったらどうか」と提案。

市民の参加という意味では、当番組でもより視聴者の参加を促すべく、Twitterの「スペース機能」を活用していますが、堀は「ジレンマもある。参加者を煽っていく仕組みが必要」と実感しているそう。

ここで視聴者に意見を求めると、家族が地方議会議員という方が発言。「いわゆる野党側で、(議員活動は)全てひとりでやっている。国会議員であれば秘書がいたり、支えるメンバーがいたり、チームで動けるが、地方議会にはひとりで活動している人が結構いる。質問作りなども時間がかかり、『ついつい"内職”してしまうことはある』と言っていた。やはり寄付を受けたり、仲間を集めたりができれば良いが、ある程度公的な部分も必要なところには出していくべき」と地方議会議員の家族ならではのリアルな声が届きます。

これに堀は「地方議会はそもそも立候補するときから選挙運動の縛りも強い」とその大変さを慮ると、ヨッピーさんは「市民の方々も区議や市議には意外と簡単に会える。意外と身近」とその存在に関して言及。「困りごとがあったときに相談をするなどして、コミュニケーションをとっても良いと思う。DMを送れば返ってくると思うし、そういうところから興味・関心を持ってもらえれば」と述べます。

◆茨城県の議会には評価すべき点が多い!?

早稲田大学マニフェスト研究所では「地方議会改革度調査」と称し、「住民参画」や「情報共有」、「議会機能強化」などを点数化しランク付しており、そこで総合1位になったのは茨城県の取手市議会。そこでは市民が議事録を作成する「市民リライター」という制度を取り入れており、AI(人工知能)が作った議事録を修正するような形で高校生なども取り組んでいるそうです。

都道府県部門で1位に輝いたのは茨城県議会で、平日傍聴できない人が多いため「休日議会」を導入。

また、最優秀成果賞には山形県・遊佐町の「少年議会」が選出。これは町内の中高生から「少年町長」、「少年議員」を選び、45万円の予算で政策実現を目指すという取り組みで、そこで実際に街のイメージキャラクターが誕生したほか、JR東日本へのダイヤ改正要望を実施。結果、2017年参院選の10代の投票率はトップに。早稲田大学の北川顧問は「地方議会は市民、特に子どもに開かれるべき」と話しています。

今回の議論を受け、小幡さんが「議員の働き方改革 報酬のカットではなく、より有効な使われ方を!」と提言を発表。

一般的に仕事をしていないのであれば報酬を減らす方向で考えられますが「僕は(議員の報酬は)減らす必要はない、今ぐらいもらっていないとダメ」と言い、「そのお金をより有効的な使われ方をするような仕組みにするべき」と主張。そして、議員の仕事に関してより効率化できることはあるとし「報酬を減らすのではなく、その報酬に見合った仕事をしっかりとしてもらうように仕組みから変え、議員の働き方改革をすべき」とまとめていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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