福井赴任の記者や局アナに住んだ印象聞いてみた 食べ物や自然…県民には気付かない視点

【グラフィックレコード】座談会「福井ってどう」(上)
「福井県」の印象や魅力について語る記者ら5人(右から吉塚美然さん、井上愛梨さん、浅見英一さん、杉本早紀さん、乗京真知さん)=2022年12月、福井県福井市の福井新聞社

 福井県外出身者にとって福井は住みやすい? それとも住みにくい? 全国紙やテレビ局の記者、アナウンサー計5人に座談会形式で語ってもらった。福井県にずっと住んでいる人には気付かない視点が多く、違った古里の形が見えてきた。座談会の内容を2回にわたって紹介する。まずは福井の印象について。

 ―福井赴任を言われたときの心境は。

 吉塚美然(NHK) 北陸のイメージマップに福井はなかった。金沢の印象が強いので、思わず地図で福井を探した。大阪からサンダーバード一本で約2時間。意外と近いと思った。

 乗京真知(朝日新聞) 坂井市に住む90代の祖父母の近くで暮らすため、福井赴任を希望した。福井での生活は約20年ぶり。

 ―赴任前の福井の印象。

 井上愛梨(福井テレビ) 雪深いところで生活できるのか不安だった。

 杉本早紀(時事通信) 大学時代、ライフセービングの大会で、高浜町の若狭和田ビーチを訪れた。海がきれいという印象。

 ―暮らし始めてからの印象は。

 浅見英一(共同通信) チェーン店の牛丼が、ご飯が違うのか、東京よりおいしい。スーパーの刺し身もおいしい。食べ物がとにかくおいしい。ただ、飲食店のランチタイムが短い。午後1時ごろに終わっている店がある。

 井上 福井のそばは一番おいしい。毎年、愛媛の実家に送っている。ソースカツ丼もシンプルなのに、素材がよいからおいしい。でもPRはあまりせず、いいものに囲まれて満足している印象。謙虚な県民性なのかもしれない。冬はサンルームでも洗濯物が乾かない。除湿器と扇風機を使って乾かしている。

 吉塚 コメを実家に送っている。家族は「いちほまれ」に感動していた。福井はスーパーの総菜コーナーが広い。交通では道が広くて、どこへ行くのも分かりやすいから、運転しやすい。観光客もレンタカーを使えば便利なはず。売り文句になるのでは。一方で、電車やバスの便が少なくて、福井駅周辺ですら、流しのタクシーを捕まえられない。

 乗京 高校時代まで過ごした福井のイメージは雪と風。20年ぶりに戻ってみると、人が穏やかで優しくて、これまでのイライラした生活から解放された。

 杉本 イライラした人たちが乗っている満員電車に揺られることもない。食だけでなく山、海、川に感動する。雪は大変だけど、雪が積もった夜は、雪の反射で少し明るい。空が広いから虹も見られる。日常の暮らしの中に“プチハッピー”が多い。すごいポテンシャル。

【5人のプロフィル】

▽浅見英一・共同通信福井支局長 鳥取県鳥取市出身。1994年入社。2015年にワシントン支局次長。20年10月から現職。55歳。

▽乗京真知・朝日新聞福井総局員兼国際報道部員 福井県坂井市出身。2006年入社。イスラマバード支局長などを経て22年9月から現職。41歳。

▽井上愛梨・福井テレビアナウンサー 愛媛県今治市出身。福井県外のテレビ局を経て2009年入社。報道から情報番組まで担当。40歳。

▽吉塚美然・NHK福井放送局記者 福岡県福岡市出身。関西の大学を卒業後、2019年入局。福井が初任地で、県警や県政を担当。26歳。

▽杉本早紀・時事通信福井支局記者 神奈川県川崎市出身。関東の大学を卒業後、2019年入社。東京で警察担当を経て現職。26歳。

⇒【座談会後編】福井には「リアルジャパン」がある

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