1月22日、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースの予選。翌週28〜29日にかけて行われる決勝は、予選で最速タイムをマークしたメイヤー・シャンク・レーシング(MSR)の60号車アキュラARX-06(トム・ブロンクビスト/コリン・ブラウン/エリオ・カストロネベス/シモン・パジェノー)が先頭からスタートすることになった。
WEC世界耐久選手権と共通の新規定・LMDhが採用される初のレースということで注目を集めている2023年デイトナ24時間レース。20日から3日間の走行となった公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス』を通じた話題を含め、予選ウイークのパドックから各種トピックスをお届けする。
■アキュラ60号車がトップを奪われたのは1度のみ
ポルシェ963のクラッシュによる赤旗から再開されたセッションの残り時間が短かったこともあり、ポールポジションを獲得したブロンクビストは、これまで経験したセッションの中で「最も難しい」ものだったと予選を振り返っている。
「タイヤが完全に準備できていたわけではなかったし、その状況でアタックを始めるにあたっての基準となる経験も持ち合わせていなかった。少し手探りだったんだ」
ポールポジションの1分34秒031というラップタイムは、2019年にマツダRT24-Pのオリバー・ジャービスが記録したDPiの予選レコードよりコンマ4秒遅いものだった。
チップ・ガナッシ・レーシングのキャデラックV-LMDhは2台とも、予選中にスタート/フィニッシュ・バンクで目に見える火花を散らしていた。CGRのグローバル・ディレクターであるマイク・オガラは、「風とタイヤの空気圧の組み合わせによるもの」であると語った。
オガラによれば、メインストレートで向かい風がマシンを押し下げ、アンダーフロアと路面との摩擦を引き起こしたという。タイヤの空気圧が低いことも一因だったが、セッションが進むにつれて空気圧が上がり、火花は少なくなった。
■GT3界のスターがLMP2デビュー
今回のデイトナでは、GT3界のスターであるラファエーレ・マルシェッロがハイクラス・レーシングからLMP2クラスにへとデビューする。
彼は「学んで、適応すること」が必要だと語っている。
「AMGはこのレースにそれほど多くのマシンを投入していないから、このレースに出るチャンスがなかったんだ。でもそのチャンスがやってきたから、それを掴んだだけだ」
マルシェッロは「数年前に」バレルンガでオレカ07・ギブソンをテストしたが、それがLMP2マシンの唯一の経験であったと付け加えている。
■苦悩する新型ポルシェ911 GT3 R
GTDプロクラスのポールシッターであるマーロ・エンゲルは、GTカー全体の中では予選4番手となったが、GTDプロ/GTD車両のすべてが予選で力を出し切っていたわけではないと考えているようだ。
「僕らがプッシュせよと言われたことは、リザルトシートを見れば明らかだと思う」とエンゲル。
「グリッド全体がそうなのかどうかは分からない。来週、突然ペースをつかむライバルが何台かいるはずだ」
ライト・モータースポーツの16号車に乗るヤン・ヘイレンは、予選で新型ポルシェ911 GT3 Rの最速タイムを記録し、GTDプロ/GTD合わせた33台中、21番手となった。
ヘイレンのタイムは、クラスポールのウインワード・レーシング57号車メルセデスAMG GT3のフィリップ・エリスより2.8秒遅かった。
Sportscar365の取材によると、ポルシェはロア・テストでタイムチャートの後方を占めた992型のポルシェ911 GT3 Rのポテンシャルを確認するため、GTDのカスタマーにゴールドまたはプラチナレートのドライバーを予選で起用するよう勧めたようだ。なお、ブロンズドライバーで予選を通過すれば、決勝で使用するタイヤが1セット増える。
ポルシェには、ロア・テスト向けに33mmのエアリストリクターが与えられていた。昨年のレースで許容されたのは38mmだが、先代の991.2型は排気量4リッターのフラット6が搭載されていた。現在の992型には4.2リッターエンジンが搭載されており、これに合わせたリストリクター径変更となっている。
アイアン・デイムスの83号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2は、土曜夜のプラクティスでシリンダーのひとつに不具合が発生したため、予選日となった日曜の朝にエンジン交換を行った。
予選ではこのピンクのマシンでラヘル・フレイがアタックし、GTDクラスの15番手を手にしている。
チームメイトのミシェル・ガッティングによれば、アイアン・デイムスのクルーたちは、デイトナで初めてランボルギーニ・ウラカンGT3をドライブしているのだという。
また彼女によれば、第2戦セブリングではさらに大きなチャレンジが待ち受けているとのこと。なぜなら彼女たちは、併催されるWEC世界耐久選手権でポルシェ911 RSR-19もドライブしなければならないからだ。
■息子との再タッグを望むヤン・マグヌッセン
ハースF1ドライバーの息子・ケビンが手の手術を受けたためデイトナ24時間を欠場することになったが、ヤン・マグヌッセンは将来的にケビンと再びレースをすることを望んでいると語った。
ケビンはF1オフシーズンのみレースに参加することを許可されており、12月のガルフ12時間や来年のデイトナ24時間、そしてリキモリ・バサースト12時間への出走が可能であると、ヤンは説明している。
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レースウイークの走行は1月26日木曜日から再開されるが、水曜日の夜にはデイトナ24時間に参加するマシンを間近に見て、ドライバーに会うことができる『トゥエンティフォー・プレミア』が開催される。
この無料イベントには、ピットストップのデモンストレーション、ドライバーのファンフォーラム、サイン会などが含まれている。