娘死亡、生後3カ月…ネットで調べていた母「今思えば病院に行くべきだった」病院を拒絶していたのは夫

さいたま地方裁判所=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 2020年9月、夫と共謀して生後2~3カ月だった娘に適切な医療処置などの生存に必要な保護を受けさせず死亡させたなどとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた、埼玉県美里町関、無職の母親(30)の裁判員裁判の論告求刑公判が23日、さいたま地裁(北村和裁判長)であった。検察側は「虐待の疑いを恐れた」などとして懲役8年を求刑。弁護側は、懲役3年を求めて結審した。判決は26日。

 論告で検察側は、娘は自力で水や食料を摂取できず、親による保護が不可欠だったと指摘。「虐待の疑いを恐れ、子どもの安全より自分たちの都合を優先させており、強い非難に値する」と述べた。

 一方弁護側は弁論で、母親は何度も病院に連れて行くことを夫に提案したが、強く拒否されたと説明。病院に連れて行くことを拒否された後もウェブサイトで子どもの体調について熱心に調べていたとし、「決して夫を守るために病院に連れて行かなかったわけではない」と強調した。

 母親は最終陳述で、「今思えば病院に連れて行くべきでした。娘に申し訳ない気持ちでいっぱいです」などと述べた。

 起訴状などによると、母親は夫(31)=同罪で懲役10年判決、控訴=と共謀し、20年8月ごろ、娘が下顎骨骨折などで哺乳困難になり、同年9月上旬ごろには肋骨(ろっこつ)を骨折していたのにもかかわらず、医療処置などの適切な保護を与えず放置し、同年9月11日ごろ、全身機能障害により死亡させたとされる。

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