「米国圧力」実質審理へ 「砂川事件」国賠償訴訟、元外交官の孫崎氏らを証人に採用

 【東京】1957年に米軍立川基地(旧砂川町)に立ち入ったとしてデモの参加者が起訴され、最高裁で有罪が確定した「砂川事件」で、公平な裁判を受ける権利が侵害されたとして係争中の国家賠償訴訟の第11回口頭弁論が23日、東京地裁(大嶋洋志裁判長)であった。大嶋裁判長は原告側が証人尋問請求した元外交官の孫崎享さんらの採用を決めた。

 原告側は、裁判所が当時の砂川事件の審理の経緯について証人採用により実質審理に入るとみて評価している。

 砂川事件は、一審(伊達判決)が日米安保条約に基づく駐留米軍の存在を違憲と判断し基地への立ち入り行為を無罪としたが、最高裁は一審を覆して有罪を言い渡した。後に当時の田中耕太郎最高裁長官が米側へ裁判の見通しなどを伝えていたことが米公文書で判明。元被告の土屋源太郎さんらがゆがめられた刑事判決で精神的損害などを被ったとして国を相手に慰謝料などを求めている。

 国側は米公文書の存在を「知らない」と主張しているが、原告代理人の武内更一弁護士は「裁判所は、公文書については米国の開示で明らかであるため存在を認めた上で実質審理に入る姿勢を示した」と話した。この日の弁論では孫崎さんを含め原告の土屋さんら3人の尋問採用が決まった。

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