襲い掛かった無職20代…高級腕時計を届けに来た配達員ら重傷 無罪を主張、睡眠薬で「爆発的な攻撃性が」

さいたま地方裁判所=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 2021年4月、埼玉県さいたま市大宮区のマンション敷地内で運送会社従業員の男性2人を切りつけ、高級腕時計を奪おうとするなどしたとして、強盗殺人未遂や銃刀法違反、窃盗などの罪に問われていた住居不定、無職の男(22)の裁判員裁判の論告求刑公判が23日、さいたま地裁(金子大作裁判長)で開かれた。検察側は懲役22年を求刑し、弁護側は心神喪失だったとして強盗殺人未遂罪などについて無罪を主張した。判決は2月8日。

 論告で検察側は、男が犯行前に服用していた睡眠薬によって意識障害を起こしていたという弁護側の主張について「時計を奪うという目的達成に向けた合理的で状況に応じた行動判断ができていた」と説明。睡眠薬による影響は小さかったとし「刑を軽くする理由にはならない」とした。

 弁護側は、目的こそ一貫していたものの、犯行前後の行動について思考の錯乱があったとして、睡眠薬の服用によって「判断力が下がり、爆発的な攻撃性に襲われた」として「犯行への影響は圧倒的だった」と主張した。

 起訴状などによると、男は21年4月22日、同区のマンション内で高級腕時計3本(販売価格計938万円)を届けに来た配達員の男性=当時(34)=と、別の配達員男性=当時(53)=を刃物を使って切りつけて重傷を負わせ、高級腕時計を奪おうとするなどしたとされる。

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