女性の昇進を妨げるものとは?令和3年版「男女共同参画白書」から見えてきた課題

現在、女性が継続して企業で活躍できるよう、見直しや改善が行われつつあります。
社会全体でそのような傾向がみられるなか、自身の会社としての取り組みを振り返る機会を作ってみてもいいのではないでしょうか。

現在の日本の女性の課題

内閣府は、2003年の男女共同参画基本計画(第2次)において、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」ことを目標としました。
2020年時点では、残念ながら上記は未達に終わっています。
その後、2020年の「男女共同参画基本計画(第5次)」にて「2020年代の可能な限り早期に、指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指す」という新しい目標へと変更されました。
内閣府「男女共同参画白書(令和3年版)」によると、2020年の日本の女性が占める管理的職業従事者(役員や課長相当職以上など)の比率は13.3%です。
女性の割合は増加を続けていますが、全年度の中で最も高い2020年であっても「係長級」で21.3%、「部長級」で8.5%にとどまっています。
また日本商工会議所は2022年7月から約1か月間、女性、外国人材の活躍に関する調査を行いました。
このうち、女性の活躍に関する結果は以下のとおりです。

女性の活躍を推進している企業は71.8%、うち半数が課題があると回答
女性管理職の比率が0%の企業が43.2%、30パーセント以上の企業が10.1%

女性の活躍を前向きに捉える企業が多い一方で、より具体的に導入を進めていくには課題を抱える企業が多いことがわかります。

昇進の妨げとなる課題とは?

では、女性が管理職になるうえで課題となるのはどのようなことなのでしょうか。
以下のような課題が挙げられます。

女性自身の課題

・家事・育児が女性に集中している:45.7%
・女性社員本人が現状以上の活躍を望まない:44.7%
・管理職・役員候補の女性社員が少ない(経験・年齢層):35.1%
・キャリアと育児・出産の両立に不安を感じている

男性が育休を取る時の課題

・ 専門業務、属人数的な業務を担う社員の育休であると代替要員が社内にいない:52.4%
・ 男性社員自身が育児休業の取得を望まない:28.8%

上記のように、女性はプライベートでのライフイベントが多々あります。
20代後半から30代にかけて、女性が結婚、出産、育児など、かなりライフイベントがあり、仕事の継続が難しいことが多いのが現状です。
そのため、企業として、女性のライフイベントに応じてサポートすることが重要です。

企業としてできる対策

女性社員の離職率低下、人材の確保をしていくことで、優秀な女性社員の定着につながると考えられます。

そこで企業がしていくべき対応について調べてみると、各企業でこれまでと少し違った角度の、女性が働きやすくなるような福利厚生を取り入れいてる企業が多々見受けられます。
私自身も女性社員として企業に勤めている中で感じていることは、常務内容、部署ごとによってはまだまだライフイベントに伴う継続した働ける環境の整備が整っていないことが多いのではないかと思います。
企業の福利厚生を多く見ていくと、以下のような興味深い福利厚生がありました。

・ 妊活休暇:不妊治療中の女性社員が治療のための通院等を目的に、月1回まで取得可能な特別休暇
・ 卵子凍結補助:女性社員を対象に、各種検査や卵巣刺激、採卵、凍結保存など卵子凍結に関する費用について補助金を支給する制度
・ キッズ休暇:子どもの急な発病や登園禁止期間など、子どもの看護時に在宅勤務できる制度

キャリアアップしたい、ライフイベントがあっても仕事を並行して続けたいと考える女性が多くなってるこの時代だからこそ、現実的に活用しやすい、福利厚生の導入を検討してみるのもいいのではないでしょうか。
女性の活躍を推進していくことで、組織の活性化に大きくつながります。
男女関係なくキャリアを積むことが可能になってきた時代であり、ライフイベントを経ても第一線で活躍することを希望する女性社員が活躍できる体制づくりを検討していくのが望ましいでしょう。

<参考>
・ 内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和3年版」
・ 内閣府男女共同参画局「第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~(令和2年12月25日閣議決定)」
・ 日本商工会議所、東京商工会議所「女性、外国人材の活躍に関する調査」
・ 株式会社サイバーエージェント「福利厚生」

投稿 女性の昇進を妨げるものとは?令和3年版「男女共同参画白書」から見えてきた課題産業保健新聞|ドクタートラスト運営 に最初に表示されました。

© 株式会社ドクタートラスト