

福井の魅力は? 売り出し方は? メディア関係5人による座談会後編。食、歴史、人柄…。福井には幅広い魅力があり、都市部にはない「リアルジャパン」があるという。「キーワードは『秘境』」「非日常の体験サービスを」。議論は熱を帯び「北陸新幹線を大阪まで早期につなげることが重要」といった意見も出た。
―福井の魅力は。
吉塚美然(NHK福井放送局記者) 両親は福井に遊びに来たとき、坂井市三国町の民宿や、越前市のそば店巡りが印象的と言っていた。個人的には嶺南の常神半島の海がお気に入り。手つかずの風景の中に暮らしがある。忘れられたものがここにある。仕事で落ち込むと常神に向かってしまう。福井のキーワードは秘境。
浅見英一(共同通信福井支局長) 一乗谷朝倉氏遺跡、永平寺、平泉寺、嶺南の神社仏閣など歴史の舞台がたくさんある。どれも価値が高く美しい。
井上愛梨(福井テレビアナウンサー) シャイな人が多く、受け入れてもらうまで時間はかかるが、優しい人が多い。雪で車がスタックしても、知らない人が助けてくれる。野菜などのお裾分け文化もすてき。それと、お年寄りが元気。朝から晩まで雪かきをしているし、喫茶店でも楽しそうに話をしている。私も元気な老後を送れそう。
杉本早紀(時事通信福井支局記者) 高浜町の明鏡洞や小浜市の蘇洞門など、穴場のスポットも魅力的で、家族や知人の満足度は高かった。ローカルだけど、文殊山や足羽山のミニ動物園も楽しい。
―逆に残念なことは。
杉本 タクシーの運転手が冷たいと思うことや、飲食店の接客態度が気になることがある。接客が良ければもう一回行こうとなるのに、もったいない。
浅見 京都に比べると、歴史的建造物などのメンテナンスにお金がかけられていないと感じる。
―福井の魅力をどう打ち出すべきか。
乗京真知(朝日新聞福井総局員兼国際報道部員) 長期滞在で和紙をすいたり、座禅をしたり、精進料理を食べたりと、非日常を体験してもらう。「100年前の日本」みたいな売り出し方で、不便なことを強みにしていけばよい。欧米の大学生のバックパッカーを狙うなら、安く長く泊まれる宿、手軽な移動手段、英語が不可欠。
吉塚 出身の福岡は焼き鳥、ラーメン、水炊き、もつ鍋などB級グルメがコンテンツになっている。観光客の多くは食でスケジュールを組む。食べ物が多いと連泊する。
浅見 愛知県の犬山城の敷地内にホテルがある。お城の中の御殿に泊まっているようで、長く滞在したいと思う。長く滞在すれば周辺を巡るようになる。秘境的なところも発見できる。私はこのホテルに年に2、3回行く。
―2024年春に北陸新幹線が敦賀まで来る。
浅見 福井から大阪につなげることが大事。東京からだと遠い。群馬、長野、新潟を抜けて、金沢ですらちょっと遠い。でも大阪は近い。潜在的なお客さんがいると感じる。
吉塚 カニといっても富山、金沢で食べられる。そばといっても信州がある。新幹線が大阪までつながれば、関西の人は、まずは福井にやって来る。=発言者の敬称略
【5人のプロフィル】
▽浅見英一・共同通信福井支局長 鳥取県鳥取市出身。1994年入社。2015年にワシントン支局次長。20年10月から現職。55歳。
▽乗京真知・朝日新聞福井総局員兼国際報道部員 福井県坂井市出身。2006年入社。イスラマバード支局長などを経て22年9月から現職。41歳。
▽井上愛梨・福井テレビアナウンサー 愛媛県今治市出身。福井県外のテレビ局を経て2009年入社。報道から情報番組まで担当。40歳。
▽吉塚美然・NHK福井放送局記者 福岡県福岡市出身。関西の大学を卒業後、2019年入局。福井が初任地で、県警や県政を担当。26歳。
▽杉本早紀・時事通信福井支局記者 神奈川県川崎市出身。関東の大学を卒業後、2019年入社。東京で警察担当を経て現職。26歳。
⇒【座談会前編】福井県民は気づかない…違った古里の形