“街をつなげる”再開発 虎ノ門に新ヒルズ誕生へ

港区虎ノ門がさらに進化します。虎ノ門ヒルズの新たなタワーがこの秋開業することが発表され、現在進む周辺一体の再開発で“街と街”がつながります。

1月24日に概要が発表されたのは、2023年7月に完成し、秋に開業する予定の虎ノ門ヒルズ4棟目となる「ステーションタワー」です。東京初進出のホテルのほか、およそ80店舗からなる商業ゾーンにはミシュランの掲載店が手がける新業態の店など数十店舗の飲食店が入ります。また、国際ビジネス拠点としてグローバル企業が入るオフィス空間も生まれ、地上49階建てという超高層の複合施設が誕生します。

中でも一番の特徴は、タワー最上部に位置する情報発信拠点です。アートやテクノロジーなど新たな価値や体験をこの場所から世界に発信し、東京の「磁力」を高めます。

そして、タワーと一体的に再開発されているのが東京メトロ・虎ノ門ヒルズ駅の駅前広場です。街の中心でもある駅と施設が広場でつながります。さらにステーションタワーの完成に合わせて大規模な歩行者デッキも整備され、幹線道路をまたいで分かれていた東西のブロックが1つにつながります。歩行者デッキの整備により、虎ノ門ヒルズのタワーも全てつながり、エリア全体の回遊性が高まるということです。虎ノ門ヒルズの開発を手がける森ビルの辻慎吾社長は「虎ノ門ヒルズがいよいよ1つの街・ヒルズになる。東京の磁力を高める街、新しい東京がここから始まる」とした上で「虎ノ門は東京の中心に位置し、霞が関も近い。大使館や文化施設も集中している。このエリアのポテンシャルを誰よりも知っていた。ここから始まる新しい東京にどうぞご期待ください」とプレゼンテーションしました。

変わりゆく街並みに、周辺の店も期待を寄せます。虎ノ門ヒルズ開業に合わせて開店したというグッドモーニングカフェ&グリルの上間健也さんは「駅がつながってくると来店数も増えるし、タワー自体も使いやすくなると思うので、街が盛り上がると思う。もちろん一緒に盛り上がりたい」と話しています。また、創業70年を超える米の販売店・カネコ米店の金子麗子さんも「歩行者デッキの整備で虎の門病院まで一直線に行ける。病院に行く人たちは楽になっていいと思う。令和と平成とどんどん変わっていく街並みを見ているから、歴史的に楽しんでいる」と話しました。

<街とつながる虎ノ門ヒルズ より大きく便利に>

虎ノ門ヒルズと街の変化を振り返ります。

2015年に撮影された虎ノ門エリアの写真を見ると、その中心に立つのが2014年4月に完成した「森タワー」です。当時、周辺には高いビルがほとんどないことが分かります。その6年後の2020年1月には「ビジネスタワー」が完成し、同じ年の6月には東京メトロ日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」も開業し、インフラと一体となった開発が進みました。周辺には工事現場なども写っていて、街の開発が始まる様子が分かります。さらに2022年1月にはマンションなどが入る「レジデンシャルタワー」が完成しました。この頃になると周辺にも高いビルが立ち並び、虎ノ門ヒルズの拡大と共にエリア全体の都市開発も一気に進んだことが分かります。

そして今年7月、ステーションタワーが完成します。これにより、森タワー開業からわずか9年弱で、延べ床面積約80万平方メートルという六本木ヒルズに匹敵するスケールの"新たなヒルズ”が完成することになります。

ステーションタワーの完成は虎ノ門ヒルズの利便性向上にもつながります。虎ノ門ヒルズステーションタワーと共に完成する歩行者デッキ「ティーデッキ」によって虎ノ門ヒルズの全てのビルがつながり、行き来がしやすくなります。さらにステーションタワーはティーデッキのほか、地下で虎ノ門ヒルズ駅ともつながるため、駅と街が一体化し、さらに使いやすく便利になるということです。

虎ノ門ヒルズのある港区では今年、麻布台ヒルズの完成も控えていて、虎ノ門だけでなく区全体が盛り上がりそうです。虎ノ門ヒルズを中心に、今後、虎ノ門の街がどのように進化を遂げていくのか楽しみです。

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