島津製作所が立地協定 研究開発拠点「長崎ラボ」 県、長崎市と締結

立地協定書に調印した(左から)大石知事、山本社長、田上市長=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

 島津製作所(京都市)は24日、研究開発拠点「Shimadzu Nagasaki Collaboration Lab(長崎ラボ)」の立地協定を県、長崎市と結んだ。長崎大、県立大と連携し、感染症対策、海洋事業、情報セキュリティーの3分野で技術開発や人材育成に取り組む。
 同市御船蔵町の長崎駅前電気ビルに4月開所予定。5年間で10人の雇用を計画している。
 長崎大と24日付で包括連携協定を締結した。同大に在籍する感染症関連の専門家と協力して、検査試薬や検査装置を開発する。同社が独自に開発した水中の高速データ通信装置を使って、養殖や洋上風力発電の設備点検などでの実用化も目指し、実証実験を同市近海で実施。県立大とは、ソフトウエアなどの弱点や欠陥を自動収集する技術を共同研究する。
 市内のホテルで大石賢吾知事、田上富久市長、山本靖則社長が協定書に調印。山本社長は「(自社には)これまで大学や企業と協働し、新たなものを作ってきた歴史がある。長崎でも三つの分野で新しい時代を切り開けるような製品群を作っていきたい」と述べた。

◎「大学の人材、知見が決め手」 山本社長

 島津製作所の山本靖則社長に、長崎進出の狙いや今後の展望について聞いた。

 -九州への研究開発拠点進出は今回が初めてとなる。経緯と狙いは。
 次世代に向けた新事業の候補として、感染症対策を含むヘルスケア分野は新型コロナ禍前から模索を続けていた。コロナ禍で一気に脚光を浴びたが、今後も感染症のリスクは続く。当社の国内開発拠点は京都と神奈川にほぼ集約しているが、この分野の研究を強化する上で、今のままでは足りないと考えていた。
 そんな中、長崎から熱心に誘致のアプローチをいただき、長崎大が感染症分野ですぐれた人材や知見、施設を有していることが分かった。情報セキュリティーも同様で、今後ニーズがますます高まる分野。県立大が全国に先駆けて学部を創設したと聞き、決め手の一つとなった。

 -今後、製造拠点を本県に置く可能性は。
 現在はちょっとイメージがないが、研究の結果で市場に出していく製品群ができれば、近くに製造拠点を置くメリットは大きい。もし海洋事業のビジネスを拡大するような話が本当に出てきたら、間違いなく長崎でものづくりすることになるだろう。


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