今の学生は安定志向。終身雇用を望む8割。安定した仕事に就きたい6割超え。~連合調査

 労働市場の流動化が求められている。日本企業の人事・労務体制は年功序列・終身雇用のいわゆるメンバーシップ型雇用で、従業員の生活の安定を何よりも重視してきた。しかし、デジタル化・グローバル化の経済では人材の流動化が不可欠であり、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への変革が唱えられている。ジョブ型雇用という労働市場の流動化は雇用を不安定にし、勤労者の生活を不安定にする可能性が大きい。

 戦後日本では、終身雇用制というメンバーシップ型による雇用保障が社会保障の土台となり、日本社会全体の生活の安定を支えてきたことは間違いない。メンバーシップ型雇用の弊害としては若い世代の期待生涯年収が低下することなども指摘されるが、若い世代はどのような雇用形態を望んでいるのであろうか。連合(日本労働組合総連合会)が学生に対して行った調査によると、「卒業後に就職した会社で定年まで勤め続けたい」と思っている者は8割近くまでに達し、その理由として「安定した仕事に就きたい」が6割超えで突出して多く、現代の若者は安定をより強く望んでいると言えそうだ。

 1月13日、連合が「学生を対象とした労働に関する調査」(調査期間:2022年10~11月、対象:学生(高校生、高専生、大学生、専門学校生、短大生、大学院生)の男女、有効回答:1000名)の集計結果を公表している。この中で、「卒業後に就職した会社で定年まで勤め続けたいと思うか」と聞いた結果では、「勤め続けたい」と回答した者の割合は77.1%と8割近くまで達している。「定年まで勤め続けたい」と答えた者にその理由を聞いた結果では、「安定した仕事に就きたいから」が61.1%で突出して多くなっており、現代の若者は強い安定志向を持っているようだ。学校別に見ると、「高校生・高専生」で68.9%と約7割で、「大学生等」では55.8%と10ポイント以上の差がついており、「高校生・高専生」で安定志向がより強いようだ。

 次いで多い理由が「長く一つのことに取り組みたいから」の28.4%で、学校別には「高校生・高専生」が21.7%であるのに対して「大学生等」では32.9%と10ポイント以上高く、約3人に1人となっている。大学生等では専門性も重視しているようだ。この他、「転職や独立は大変そうだから」23.7%、「変化が苦手だから」20.1%と続き、やはり生活の安定を重視している若者の意識がうかがえる。人材の円滑な確保のためには、生活の安定を保障した上で人材の流動化を実現できる日本独自の雇用・人事体制の構築が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)

連合が「学生を対象とした労働に関する調査」。「就職した会社で定年まで勤め続けたい」学生は77%。理由は「安定した仕事に就きたい」61%が突出

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