復興のまちづくり考える みなべ町で最終ワークショップ

地図を見ながら復興のまちづくりのイメージを確認する住民(和歌山県みなべ町芝で)

 近い将来に発生が予想されている巨大地震に備え、「事前復興計画」の策定を目指す和歌山県みなべ町は23、24の両日、同町芝の町役場で住民を対象にした最終の第3回ワークショップを開いた。参加した住民は、第2回で検討した復興のまちづくりのイメージを確認するとともに、復興のコンセプトを考えた。

 事前復興計画は、本年度中に策定する予定で、各地区の自主防災会や各団体の代表らで組織する検討委員会(平田隆行委員長)が内容を検討している。並行して、住民に計画の目的を理解してもらい、復興のまちづくりについての意見を計画に反映させるためにワークショップを開いている。第1回は昨年8月上旬、第2回は11月上旬に開いた。

 3回とも津波被害が予想される南部、岩代、上南部地域の計17区の住民代表が参加している。第3回は2日間に分け、初日に岩代地域と堺地区の住民、2日目は南部と上南部地域の住民が参加した。

 いずれも、第2回で検討した「住居を近くの高台に移す」「元の場所をかさ上げして住む」「農地はそのままの場所に整備」「防潮堤を造る」といった、復興のまちづくりのイメージについて確認し、改めて意見を出し合って修正した。その後、将来像や基本目標を示す復興のまちづくりのコンセプト(イメージ)について意見を出し合い、各地域や地区としての考えをまとめた。

 初日にあった岩代地域と堺地区でのワークショップには、住民19人が参加。復興のイメージで、岩代地域では防潮堤の整備が挙がっていたが、住居地をかさ上げすることや景観への配慮などを理由に「必要なし」と修正した。堺地区では、漁港と高台の住宅地をつなぐ道路を造ることなどを加えた。

 復興のコンセプトについては、岩代地域では「梅」「歴史や文化を守る」「安全・安心」「笑顔あふれる」「子どもが増える」といった地域特有のキーワードが出され、「世界一の梅、歴史や文化を守り、子どもが増える住みよい岩代」でまとまった。堺地区のコンセプトは「持続可能な漁業を中心に安心して暮らせるまち堺」に決まった。

 東岩代の農業、山本真裕さん(45)は「災害が起こる前に、災害後のまちづくりを考えるのは難しいと思ったが、専門家の話を聞き、みんなで議論することで意味があることだと感じた。防潮堤一つをとっても、必要かどうかを考えるのはよかった」と話した。

 和歌山大学システム工学部准教授である平田委員長はワークショップを振り返り「住民が考える復興のまちづくりは、専門家が考えるものとまた違う。防潮堤を造らなくてよいと言えるのは住民側だけ。このような取り組みは初めてだと思うが、もっと時間をかけてすればもっといい計画ができる」と語った。

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