文化財防火デーで訓練 串本、芦雪ゆかりの無量寺

無量寺の境内で放水をする消防署員(和歌山県串本町串本で)

 第69回文化財防火デー(1月26日)にちなみ、江戸中期の絵師・長沢芦雪(1754~99)が描いたふすま絵などを所蔵する和歌山県串本町串本の無量寺(東谷洞雲住職)で23日、防火訓練があった。今年秋から来年春にかけ、同寺が所蔵する国の重要文化財を含め、芦雪の生誕270年に合わせた特別展が大阪と福岡で開催予定。防火訓練には関係者約20人が参加し、貴重な文化財を守る決意を新たにした。

 文化財防火デーは1949年1月26日に、現存する世界最古の木造建築物である法隆寺(奈良県斑鳩町)の金堂が炎上し、壁画を焼損したことに基づいて制定された。

 防火訓練には寺や町教育委員会、町消防本部の関係者が参加。本堂で火災が発生したと想定し、初期消火や119番通報、文化財の搬出といった手順を確認し、駆け付けた消防署員が境内で放水をした。その後、参加者が消火器の使い方についても学んだ。

 同寺では、国の重要文化財に指定されている芦雪の有名な「虎図」「龍図」、師匠である円山応挙(1733~95)の作品などを展示・保管している。

 訓練に参加した東谷住職(53)は「生誕270年で大阪や九州で展覧会が企画されていて、無量寺からも虎図や龍図が出展される。これからも末永く宝物を守っていけるよう、日々しっかり管理していきたいと思う」と話していた。

 特別展「生誕270年 長沢芦雪」は10月7日~12月3日に大阪市の大阪中之島美術館で、来年2月6日~3月31日には福岡県太宰府市の九州国立博物館で開催される予定。

 この日は、同じく芦雪にゆかりのある同町西向の成就寺でも防火訓練があった。

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