東大名誉教授が改憲に危機感

 神奈川新聞社は憲法記念日の5月3日、特別紙面「時代の正体 憲法特集」を発行する。今夏の参院選で「改正」の是非が主要争点となる日本国憲法について、東大名誉教授の樋口陽一さん(81)ら識者にインタビューした。

 憲法学の権威でもある樋口さんは立憲デモクラシーの会共同代表、立憲政治を取り戻す国民運動委員会(民間立憲臨調)の代表世話人を務める。安全保障関連法や改憲に反対する運動の先頭に立つ理由について「あまりにもひどい現状だから。すでに亡くなった恩師や仲間の思いを継がねばなりません」と説明。「主権者はわれわれ国民。それが奪われようとしています」と訴え、自民党が目指す憲法改正にあらためて強い危機感を表明した。

 また、気鋭の憲法学者・木村草太さん(35)、安保法に反対する若者グループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」の奥田愛基さん(23)もインタビューに応じた。

  木村さんは「権力が、言論人による攻撃をうまく使って、自分が攻撃したい人を間接的に攻撃するという現象が生まれている。表現者たちは萎縮してはいけない」、奥田さんは「デモをやると、共産党や民進党の手先だと言われます。そうではなく、むしろ野党に期待できないからやっています」などと主張した。

  特別紙面「時代の正体 憲法特集」は、識者インタビューや調査記事などを掲載、憲法を取り巻く現状を多角的に取り上げる。和城信行編集局次長は「さまざまな取材相手から共通して響いてきたのは、主権者はわれわれだという強い思いだ。記事を通じて多くの人と共に、主権者としての自分のあり方を考えることができれば」と話している。

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