防衛増税や解散 野党追及をかわす首相 片道通行の本会議質問に限界

国会

 「額ありき 増税ありき 議論なし」。25日の衆院代表質問で立憲民主党の泉健太代表は、防衛費倍増方針を巡る岸田文雄首相の姿勢を川柳風に皮肉った。「増税するなら明言し、解散総選挙で信を問え」と首相に迫ったが、増税については「まずは行財政改革の努力を最大限行う」との入り口論、解散については「何についてどのように信を問うのかは時の総理の専権事項」との一般論でかわされた。「質問1回、答弁1回」という片道通行の本会議質問の限界が露呈した。 

 首相はこの日の答弁で総枠論を持ち出し、防衛費への復興特別所得税の充当について「(復興特別所得税の)課税期間は延ばしたが税率は落としている」などと強調。安倍晋三元首相の経済施策「アベノミクス」を巡る「1人当たりの賃金は伸びていない。失敗ではないか」との追及には「賃金全体は増えた。女性や高齢者の就労が広がった」と回答。分母が増え、1人当たりの賃金が頭打ちとなったとの見解で反論した。

 防衛増税の可能性については自民党の茂木敏充幹事長からも「財源策は重要」として確認があった。首相は行財政改革の実施に言及した上で「それでも足りない分は令和9(2027)年度に向けて将来世代への責任として対応していく」と付言するにとどめ、野党からは「増税隠し」とやじが飛んだ。

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