迷子くじら「ヨドちゃん」問題に学ぶ“あだ名”の使い方、専門家が教える人間関係の秘訣

大阪市の淀川河口近くにクジラが迷い込んだらしいと報道されたのは1月9日。

(画像:時事)

13日に死んでいることが確認されるまでの間、連日様子が報じられ、いつのまにか「ヨドちゃん」と可愛らしいニックネームがつくまでになりました。

死んでしまっているクジラをその後どうするかについて様々な議論が飛び交うなか、「ヨドちゃん」というニックネームがついたことに賛否両論も起きていました。

もちろん、このクジラが自ら「ヨドちゃん」と名乗ったわけではありませんので、周囲が勝手にニックネームを付けるという現象については、私たちの生活にも大いに関係がある話です。

最近では“あだ名”を禁止している学校もあると耳にすることも。

ニックネームの賢い使い方についてマインドトレーナーとして活躍されている株式会社コレット代表の田中よしこさんに話を聞いてみました。

――「ヨドちゃん」というあだ名をつけるべきじゃなかったという意見も多く見られました。名前をつけると愛着がわくのはなぜなのでしょうか?

田中さん:名前をつけると、単なるものから自分にとって身近な存在になります。
なぜなら名前をつけることによって、脳が存在を擬人化してとらえてしまうからです。
迷ったクジラよりもよどちゃんの方が、かわいらしく身近に感じるのはそのためです。

――なるほど、たしかに感情移入してしまいます。

田中さん:自分が名前をつけているモノとそうでないモノでも接し方が変わってきます。
あるバッグに「リカちゃん」と名前を呼びながらいつも使っていると違うバッグを使うときは罪悪感まで出てしまいます。

――そうですね。そのバッグを使わない日にはバッグに向かって「リカちゃん、ごめんね」って言ってしまいそうです。

田中さん:モノが人のような認識になり、それに伴い感情が動くようになる仕組みです。
漫画でも名前がついているから読んでいるうちに、擬人化された人に感情が動きますが
ただのAとか生き物とか呼ばれているものには愛着がわきません。
大事にしたいものには名前をつけるのはおススメです。

――人間関係でもそうなのでしょうか。

田中さん:人間関係でも相手の呼び名はとても大切です。自分が呼びやすいもので、なおかつ相手も呼ばれて気持ちがいいものかが大切です。
ニックネームやあだ名がその人を他から際立たせる方法の1つと言えます。恋人同士だけの呼び名を使っている人も呼び合うことで特別な存在として認識しているからこそです。

――特別な関係であると互いに認識させるための手段でもあるわけですね。

田中さん:同僚やお友達は単なるさん付けで呼び合うよりも、親近感が増しますしフラットな人間関係を構築するのに有益です。
年上の方でも、後輩にあだ名で呼ばれながら楽しそうに話している人を見ると慕われているんだなと分かります。年上の方には相手の許可があれば、敬語を使いつつ、名前はニックネームで呼ぶ接し方は距離が近くなるのでお勧めです。

――会社で上司や先輩と距離を縮めたいときに使ってみたいです。あだ名の付け方で気をつけたほうがいいことはありますか?

田中さん:はい、一方で気を付けたいポイントは、体や顔の特徴を入れたもの、本人がコンプレックスに感じているもの。良くないものを連想させるものは相手が不快になりますし、良い人間関係がつくれません。

覚えにくいもの・呼びにくいものもコミュニケーションに良い影響がないので避けたいものです。

親しみやすく、自分も相手も呼んでいて気持ちがいいニックネームは最高ですね。

――ありがとうございました。

今回お話しをうかがった株式会社コレット代表の田中よしこさんは、「自分で自分を幸せにできる人を増やし、本当の自立と平等な世界を拡げる」というミッションを持ち「無意識の言語化」に力を注ぐマインドトレーナー。企業顧問や企業研修などにも幅を広げ、書籍「自分の気持ちがわからない沼から抜け出したい」も好評です。

株式会社コレット公式ホームページ:https://smilelabo-collet.com/

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