<南風>キッチンカーの需要

 フードイベントの企画やプロデュースをしている中で最近、オファーが多いのがキッチンカーイベントだ。キッチンカーとは、調理設備がそろい、あらゆる場所で営業ができる移動販売車両のことだ。

 そもそも、県内にどのくらいのキッチンカーがあるか定かではないが、私が把握しているだけでも70社ほどある。ここまで増えた背景には、やはりコロナの影響があると考える。

 コロナ禍で外食産業が大きくダメージを受けた中、店舗の家賃や人件費を抑えながら、人が集まる場所に出向いて営業ができるビジネスモデルの一つであり、外出自粛要請の中、テイクアウトとともに、巣ごもり需要に貢献した営業スタイルとしても注目を浴びた。

 実店舗を持たずに、施設やイベントに出店し経営している方、実店舗を持ちながら、キッチンカーを運営する飲食店もある。中には、もともと飲食店を経営していたが、コロナ禍でキッチンカービジネスに切り替えたという話も聞く。

 それぞれがフードビジネスのプロだからこそ、喜んでくれるお客さまがいる場所で営業するスタイルを選択。中には、イタリアンシェフがカレー専門のキッチンカーを運営していたり、人気レストランのシェフが実店舗を営業しながらもキッチンカーで料理の腕を振るっていたり、人気ハンバーガー屋がキッチンカーに事業転換したりと。各社SNSを駆使して日々変わる出店場所を告知。オープンと同時に行列ができるキッチンカーもあるほどだ。

 このようなクオリティーの高いプロの味や人気店の料理を楽しむことができるのだからキッチンカーイベントのオファーが多いのも納得だ。イベント運営側としても、急なグルメ企画のニーズへの対応やブース設営費の削減などメリットが大きい。今後も沖縄のキッチンカー市場に注目だ。

(下地友香、ちゅらグルメ編集長)

© 株式会社琉球新報社