凍える街 市民生活は混乱 長崎県内で事故多発 水道管破裂も

路面凍結した坂道を慎重に歩く人たち=25日午前8時17分、長崎市赤迫2丁目

 長崎県内全域で氷点下を記録した25日、朝から各地で公共交通機関がストップし、通勤・通学に大きな影響が出た。車両のスリップ事故や水道トラブルも相次ぎ、市民生活は混乱した。
 長崎市内では路線バスが始発から全便運行を見合わせ、早朝から徒歩で通勤する人の姿が目立った。普段バスを利用している西彼時津町元村郷の会社員、坂井秀博さん(49)はタクシーで赤迫電停へ。「前もこんな感じだったからどうすべきか想定はできた」と落ち着いた様子で話した。いつもは車通勤の薬剤師、中山明美さん(56)は同市城山台から田上まで徒歩で職場に向かっていた。「昨日は寒かったが今日は防寒対策も万全」と雪を踏み締めた。
 海の便では九州商船が始発など計11便を欠航。五島市の70代女性は通院のために長崎市内のホテルに宿泊し「離島に住んでいると、雪が降ると前泊を余儀なくされる」と漏らした。

通勤・通学客で混雑するJR道ノ尾駅のホーム=25日午前7時58分、西彼長与町高田郷

 大村市の長崎空港では24日の最終便が1時間以上遅れて到着。新大村駅までの臨時バスに間に合わない利用客もいたという。このため、同空港ターミナルビルの待合室を開放し、14人が一夜を過ごした。
 県警によると、25日午後2時時点で最大107カ所の交通規制を実施。午前10時半時点で追突事故などが468件に上った。
 長崎市城山台1丁目の50代女性は、乗用車を運転中に下り坂でブレーキがきかなくなり、ガードレールに衝突した。「雪が降っていないから大丈夫だと思ったが、路面がこんなに滑ると思わなかった」と途方に暮れていた。佐世保市消防局によると雪で滑り14人が転倒。長崎市消防局は市内で2人が転倒により骨折したとしている。
 県全体で水道トラブルも相次ぎ、佐世保市では個人所有の水道管で破裂や漏水を確認。水が出ないなどの問い合わせは午後5時現在で657件に上る。五島市では水道管破裂などの問い合わせが100件を超え、職員が対応に追われた。
 長崎市や西海市、新上五島町などでは一部の学校で休校。平戸市や西彼長与町など登校時間を遅らせる自治体も相次いだ。

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