
ブンデスリーガ第17節、シャルケはRBライプツィヒにホームで1-6の大敗を喫し、3連敗で最下位に沈んでいる。
前節フランクフルト戦(0-3)に続いての大量失点ということで、最終ラインの一角を担うも失点に直結するミスを犯した吉田麻也には、地元メディア『RUHR24』が最低採点の「6」(1~6で多いほど低評価)を与え、寸評も「開始7分で同じCBのヘニング・マトリシアニとの連係がうまくいかず、ライプツィヒのアンドレ・シウバは難なくゴールを決めることができた。吉田が制御不能な状態の中、それはシャルケの崩壊の始まりだった」と厳しい内容に終始した。
ちなみに、前節も彼は「CBは2点を奪われるなど、良くなかった。1失点目では無駄な飛び出し、2失点目では相手に対して十分に寄せられず。ベテラン選手は、マトリシアニよりは幾らか自信に満ちたプレーを見せるも、パフォーマンスは良くはなかった」とネガティブに評され、採点はチームで2番目(タイ)に悪い「4.5」に止まっている。
ただ、敗戦は彼だけのせいではなく、チーム自体が多くの問題を抱えているのは明白で、コメンテーターのミヒャエル・ルムメニゲ(かつて浦和レッズでもプレー)は、日刊紙『RND』で、「シャルケが2部に降格しないと信じるには、かなりの想像力が必要だ。多くの有識者は(クラブの降格予想に)同意している」と厳しい展望を示しているほどだ。
光明を見出せないでいるシャルケだが、その中でこの2試合、ひとり鋭いプレーを披露して称賛を浴びた選手がいる。トップチームに昇格したばかりの22歳の日本人FW、上月壮一郎だ。前節でいきなりスタメンとしてブンデスリーガ・デビューを飾ると、際立ったプレーで相手ゴールに迫り、惜しい場面を幾度も創出。『RUHR24』からは、ひとり飛び抜けて高い「1.5」の好採点を与えられ、「74分にベンチに退いたが、ファンは違う選手の交代を望んだだろう」と賛辞を贈られた。
そして今節、チームが次々に失点を喫する中でも、彼は光るプレーを見せ、56分にはミヒャエル・フライの左からのパスを受けると、W杯で名を上げたクロアチア代表DFのヨシュコ・グバルディオルの寄せを素早いボールタッチと身のこなしでかわして前に突き進み、GKとの1対1も難なく制して、早くもリーガでの初得点を記録してみせた。
試合後、自身のSNSに得点場面の写真を公開するとともに、「ブンデスリーガでの初ゴール」と投稿した上月について、『RUHR24』は採点をチーム最高タイの「3.5」とし、「スピードと遊び心が輝きを放った。56分にはアリーナに歓喜が沸き、フライからのパスを受けた上月が1-4となるシュートを決めた。ロイヤルブルーの新星にとって、これがリーガでの初ゴールとなった」と綴っている。
スポーツ専門誌『RevierSport』は、「ライプツィヒに大敗したシャルケからはあまり希望は感じられなかったが、例外は得点を挙げた上月だった」と報道。「相手DF2人の間で巧みに身体を回転させ、アウェーチームのゴールにシュートを沈めた」と得点場面を伝えた同メディアは、「真っ暗な中、地平線上に浮かんだ唯一の明るい兆し」と、日本人選手の存在を表現した。
また、トーマス・レイス監督の「上月が数少ない輝かしい点のひとつだったので、そのパフォーマンスが(ゴールという形で)報われたことを嬉しく思う」とのコメントも紹介されたが、同メディアはさらに、昨年1月に京都サンガを退団してドイツに渡り、オーバーリーガのデューレンで11試合を戦った後、シャルケに加入した上月を、リザーブチームで指導したヤコブ・フィンペルの回想も綴っている。
「『ソウ』は、(トップチーム昇格に)長い時間を要した。チームには多くの選手がおり、満員状態だったからだ。長い間、トライアルの状態にあったが、彼には最初から余裕が感じられた。彼を際立たせているのは、その絶対的な決意、野心だ。もちろん、そのフットボールのスキルも。彼は決断力があり、自身の強みを知り、それを活かしてプレーできる。そして全く、屈託がない」
一方、ニュースメディア『DER WESTEN』は、「大量失点(前半の4失点)を喫した後、サポーターはチャント、手拍子、旗振りを止め、シャルケのパフォーマンスに対する彼らの態度を明確にしたが、沈黙の時期は長く続かなかった。56分、短い時間ではあったが、上月が再びファンを目覚めさせた」と、こちらもどん底のチームにおいて、新加入の日本人選手が数少ないポジティブな要素であることを強調した。
構成●THE DIGEST編集部